風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

荒川泰昭先生の「生命と微量元素」講座より

腦の機能と微量金属 -記憶学習と亜鉛-(https://www.arakawa-yasuaki.com/course/memory-zinc.html
記憶学習の基礎過程と考えられるシナプス伝達における長期にわたる増強(LTP)や抑制(LTD)の誘導にはシナプス内のカルシウム濃度の増大(すなわちカルシウム流入)が必要であるが、亜鉛はこのカルシウムの流入を(すなわちカルシウムチャンネルを)活性化したり、抑制したりする神経調節因子(ニューロモジュレーター)として働く(抜粋引用)

 

腦神経系の情報伝達に関与する微量元素(https://www.arakawa-yasuaki.com/course/brain-signaltransduction.html
 カルシウムは記憶形成や感覚伝達など脳のあらゆる神経系の情報伝達に関与する。(略)
 亜鉛は記憶形成や感覚伝達など脳神経系の情報伝達に関与する神経調節因子(ニューロモヂュレーター)である。とくに記憶学習系では海馬シナプス終末における受容体やカルシウムチャンネルの調節因子である(図1)。すなわち、 カルシウムイオン増大に関与するグルタミン酸アスパラギン酸などの興奮性アミノ酸受容体(NMDA 受容体やnon-NMDA 受容体)、ATP作動性受容体、カリウムチャンネルを含む種々の電位作動性イオンチャンネルなどの活性化を調節する。そして、記憶・学習の基礎となる長期増強/長期抑制(LTP/LTD)の誘導、発現、持続には海馬亜鉛ホメオスタシスが重要である。(略)
 亜鉛が欠乏すると、脳では前述のような脳神経情報伝達系の調節が不可能となり、学習記憶障害や嗅覚障害、味覚障害などの感覚障害を誘発する。亜鉛欠乏に伴って脳内微量金属は著しく変動する。とくに、海馬においてはアルミニウム、嗅覚系(嗅球、嗅上皮など)においてはカルシウムの著しい蓄積が観察される。従って、亜鉛欠乏による種々の脳障害の発症には有意に変動する他の微量元素による可能性も考慮しなければならない。また、亜鉛欠乏以外に、ある種の薬物暴露やアルツハイマー病においてみられる記憶学習障害には亜鉛が重要な関わりをもっている。亜鉛キレート剤、トリアルキル錫、エンケファリンなどの外来性薬物により海馬亜鉛が消失する。また、内因的には周産期の甲状腺機能低下が海馬苔状線維亜鉛の低下を引き起こす。記憶学習障害の代表的疾患であるアルツハイマー病患者の前頭葉ならびに側頭葉の皮質での亜鉛量は正常人と比べて差がないが、海馬亜鉛量は正常人に比べて低値を示す(ちなみに、アルツハイマー病患者の海馬のアルミニウムやシリコンは正常人より高値を示す)。(抜粋引用)

 

荒川泰昭先生の「生命と微量元素」講座(https://www.arakawa-yasuaki.com/course/cerebral-nerve.htmlより

 

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