モリブデンは尿酸を生成するのに関わっているので、これが多すぎると痛風等の原因にもなります。
栄養はバランスだと認識を新たにしましょう。(伊東豊=著『医者が教える最強の栄養学』)
「栄養はバランス」- 食事について語れば、この言葉に尽きる、と思う。
しかし、このバランスを取るというのが難しいのだ。一つの観点から見てバランスを取ったつもりになっていると、別の観点からは偏りがあることが分かったりする。しかも後から。これまでそんなことの繰り返しであった。
モリブデンについて急に調べ始めて、過去のことを振り返っていた。
最初の夫の心不全での入院時は、ナイアシン、モリブデン過多で亜鉛、銅欠乏に陥っていたと思えるのだが、その後、利尿剤などを飲み始めて、今は亜鉛不足の銅過多に陥っていると考えられる。
それで、これを改善するために、モリブデン、亜鉛、銅についてさらに考えなくては、と思った。
モリブデートイオン(MoO₄²⁻)の形で吸収され、直ちに血中に入り、1日で尿に排泄。肝、腎、脾、肺、脳、筋肉に存在。体内Moのほとんどはアミノ酸代謝酵素、核酸代謝酵素、硫酸代謝酵素などの酵素の活性中心として存在。糖質や脂質の代謝を助け、貧血を予防。Mo欠乏は息切れ、速い心拍数、悪心、嘔吐、方向感覚の喪失、昏睡などの症状を誘発。食事からの欠乏はない。肝に多含のアルデヒド酸化酵素、亜硫酸酸化酵素、キサンチン酸化酵素などの活性中心でもある。Cuと拮抗(SO₄とMoによるCu代謝の妨害)。(「生命と微量元素」講座<荒川泰昭> https://www.arakawa-yasuaki.com/course/index.html#a1-2)
モリブデンは体内で尿酸などを造るが、モリブデン自身は1日で尿中に排泄されるんだ。ここだけを読むと1日で排出されるんだからそれほど毒性はないんじゃない?と思えるかもしれない。けれど私に言わせれば、「毒性強いものを造っておいて自分はとっとと体から逃げ出すのか!責任とれよー」って感じだ。
さて、問題はこの最後なのである。「Cuと拮抗(SO₄とMoによるCu代謝の妨害)」。
銅を排出してしまうというより、代謝を妨害して銅を蓄積させるということも考えられる。
だから、このサイト(https://ipidiw.co.jp/nutrition/molybdenum.html)でも、モリブデンの「過剰摂取・副作用」で「銅の排泄ができず、貧血を起こす」と記されているのだ。
銅タンパク質の中で含硫アミノ酸(システイン、メチオニン)を配位するものにCuA(カッパーエー)があるが、これに含まれているのがシトクロムc酸化酵素である。
この酵素の合成不足で起こってくるのが、心筋の機能低下であるようだ。つまりモリブデンの「過剰摂取・副作用」に記されている「心不全によって死にいたる可能性がある」ということがこれに当てはまる。
ここで考えなくてはならないのが、摂取した銅を働かせるということである。そうすると二つの方向が考えられる。
一つはモリブデン食材を控えるということ。
もう一つは含硫アミノ酸(システイン)食材(豆類等)を控えてヒスチジン食材を摂って、銅をセルロプラスミンとして働かせるということ、である。
ただしこれはモリブデンと銅との関係だけで考えた場合である。
ヒスチジンを摂って銅をセルロプラスミンとして働かせた場合、過剰症として起こってくる症状がある。関節リウマチや(急性期反応としての)炎症である(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%83%B3)。
血液検査を受けていれば、この場合は白血球の値(中でも好中球数)が上昇すると思われる。
逆にヒスチジン、あるいは銅、鉄が足りなければ、Hb(ヘモグロビン)値が下がり貧血症状を示すだろう。
「体内の銅の量が極端に少ない場合、モリブデンの中毒症状が起こる」と記されている(https://ipidiw.co.jp/nutrition/molybdenum.html)。
また「亜鉛や銅を効率よく働かせるために・・ 」でも書いたように、亜鉛と銅の関係から見ると、銅は全身の臓器に運ばれるためにヒスチジンを必要とし、亜鉛は吸収の時点でヒスチジンを必要としているようなので、亜鉛と銅との間も拮抗する。また、モリブデンと同様に亜鉛もシステインと繋がることでメタロチオネインを形成し銅を排出するだろう。
しかし、今の夫の課題は亜鉛と銅の血中濃度を逆転させることである。亜鉛を増やし、銅を下げる。
ところが、先日の検診ではこの血中亜鉛量、銅量の計測が省かれていた。アルカリホスファターゼの測定もされていなかった。
認知症の改善に良いということで認知症の家族に毎日クルミを食べさせていた人がいた。あるとき、その家族が痙攣を起こして救急車で運ばれ、医者からカリウムの多い物は食べさせないようにと言われたという。その話を聞いた時、ナッツ類にはカリウムが多いからクルミが原因ではないかと思ったのだが、最近になってクルミの検索をかけたところ、銅が最も多いことが分かった(https://calorie.slism.jp/105014/)。
銅 (https://ipidiw.co.jp/nutrition/copper.html)
原子番号29、元素記号Cu
英語:Copper
ミネラル
「血のミネラル」とも呼ばれる
大部分が肝臓に、残りは骨・筋肉・血液に存在摂取・吸収
主に小腸・十二指腸から吸収され、肝臓に運ばれる
摂取量が少ないほど吸収率が高い
亜鉛は銅の吸収を低下させる過剰摂取・副作用
吐き気、嘔吐、下痢、痙攣、腹痛、筋肉痛、黄疸
肝不全
腎臓が正常に機能しなくなる
低血圧、溶血性貧血、尿毒症、冠状動脈虚脱
銅の「過剰摂取・副作用」には「痙攣」という記載がある。
しかし、カリウム(https://ipidiw.co.jp/nutrition/kalium.html)では、「不足・欠乏」(低カリウム血症)で「けいれんが起こる」と書かれているのである。