ビタミンK とりすぎた場合
通常、問題はないが、ビタミン剤で一度に大量にとりすぎると、皮膚の病変、吐き気、呼吸困難、血圧の低下、赤血球が壊れる溶血性貧血を起こすことがある(吉川敏一『ビタミン・ミネラル早わかり』)
過剰症 溶血性核黄疸(未熟児)(https://kanri.nkdesk.com/hifuka/eiyou9.php)
ビタミンK1とK2の過剰症はほとんど起こることはない。しかし、新生児では溶血性貧血や核黄疸、成人では呼吸困難や貧血が生じる場合もあるとされる。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』p152)
溶血性貧血:赤血球の破壊によって起きる貧血の総称。赤血球は不飽和脂肪酸の膜で覆われており、活性酸素によって酸化すると赤血球膜が破れて赤血球が破壊され、貧血を引き起こす。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』p149)
ビタミンK キノン骨格。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3K
銅含有アミン酸化酵素のトパキノン補酵素生成過程の研究(http://www.sbsp.jp/sbsp/Sb/sb82/010.pdf)
ビルトイン補酵素には、銅イオンを補欠金属として含むアミン酸化酵素中の2,4,5-トリヒドロキシフェニルアラニルキノン(トパキノン、TPQ、図1)(1) やリシルチロシルキノン(2)、アミン脱水素酵素中のトリプトファントリプトファニルキノン(3)やシステイントリプトファニルキノン(4,5)がある。これらの補酵素はキノン体であり、キノノイド補酵素と呼ぶ。また、キノノイド補酵素を活性部位に持つタンパク質群をキノプロテインと呼ぶ。我々は、ビルトインキノノイド補酵素のうちトパキノンを取り上げ、いかにして翻訳後修飾反応が進行するのかを明らかにするために銅含有アミン酸化酵素の構造研究を行ってきた。(略)
2 価の銅イオンは、アポ型酵素に最初に結合する時には四面体配位構造をとり、銅イオンの配位構造の平面性は崩れていると予測した。その後、銅イオンが分子状酸素を活性化してチロシン環を攻撃し、ドーパキノンを生成する。さらに、溶媒の水分子がドーパキノンを攻撃し、還元型のトパキノン(トパ)を経てトパキノンが生成するというものである。
チロシンYから合成される抗酸化物質の殆どはキノンです。例えばTPQ、LTQ、CTC、PQQ、インド-ルキノンがあります。キノンはベンゼン環の2つの炭素をカルボニル基(C=O)に置き換えた構造を含む化合物です。(略)
トパキノン(TPQ)は銅アミン酸化酵素です。(略)
ピロロ・キノリンキノン(PQQ =Pyrroloquinoline quinone)は酸化還元反応に関与する電子伝達体です。1964年にJ.G. Haugeらにより、細菌のグルコース脱水素酵素に含まれるニコチンアミドとフラビンに次ぐ3番目の酸化還元補酵素として見出されました。PQQは必須アミノ酸であるリジンの分解に関わる酵素を助けています。PQQを含まない餌を与えたマウスは、成長が悪く、皮膚がもろくなり、繁殖能力が減少します。
ちなみに脂溶性ビタミンのビタミンKはキノイドの一つです。天然のものはビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メナキノン類)があります。
ビタミンK1は植物の葉緑体で生産され、ビタミンK2は腸内細菌から生産されます。これらは血液凝固や丈夫な骨づくりに不可欠です。
このようにキノンは生物学的に重要な物質です。キノンは光合成の光化学系I・光化学系II などの電子伝達系において、電子受容体としての働きをしています。光化学系I には2対のフィロキノン、光化学系II には2対のプラストキノンが存在します。http://levin2018.xsrv.jp/wp/%E3%83%81%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AA%E6%8A%97%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%89%A9%E8%B3%AA%E3%81%8C%E5%90%88%E6%88%90%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B/
リジン 細菌やウイルスに対する抗体、ホルモン、酵素をつくる(中村丁次=監修『栄養成分バイブル』)
これらの記述から、銅たんぱく質とビタミンKの間に酵素と補酵素の関係を見ることができるように思う。
また、亜鉛や銅が発熱を起こしてウイルスと闘う際にビタミンKが関与していると思われる。
しかし活性酸素による攻撃が続けば、溶血性貧血、酸素欠乏を経て呼吸困難となり得る。