ビタミンE
赤血球膜脂質を酸化から守り、溶血性貧血を防ぐ。
過酸化脂質の生成を抑制するビタミンEの作用は、たいへん重要です。血液中を運ばれるコレステロールも脂肪の膜でおおわれています。酸化されれば過酸化脂質ができ、血管壁にこびりついて、動脈を硬化させます。血管壁の細胞膜が損なわれても、動脈硬化はおこりやすくなります。こうして血流が悪化し、心筋梗塞や脳卒中を招きます。過酸化脂質の害は、肝臓、肺などあらゆるところに及びます。
ビタミンEは過酸化脂質を分解することで、血液中に粘度のある物質が流れ出すのを防いで血行をよくします。
過剰症 大量摂取すると血が固まりにくくなる(米国科学アカデミー)。サプリメントから摂取する場合は許容上限摂取量以下に。
(中村丁次=監修『栄養成分バイブル』)
ビタミンK1とK2の過剰症はほとんど起こることはない。しかし、新生児では溶血性貧血や核黄疸、成人では呼吸困難や貧血が生じる場合もあるとされる。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』p152)
溶血性貧血:赤血球の破壊によって起きる貧血の総称。赤血球は不飽和脂肪酸の膜で覆われており、活性酸素によって酸化すると赤血球膜が破れて赤血球が破壊され、貧血を引き起こす。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』p149)
血管組織が損傷を受けると、組織から組織因子(TF=Ⅲ因子=組織トロンボプラスチン)が遊離し、Ⅶ因子と会合して、直接Ⅹ因子を活性化する(組織因子の下図が少ないとⅨ因子の活性化から進む)。これが外因系のスタートになる。(https://kanri.nkdesk.com/drags/kesen.php)
過酸化脂質は活性酸素によって生じる。しかし、・・
大気中には、約20%の酸素が含まれており、生物はこの酸素を利用し生命活動を維持しています。酸素は、外部からの様々な刺激を受け、反応性の高い活性酸素に変化します。活性酸素は、細胞伝達物質や免疫機能として働く一方で、過剰な産生は細胞を傷害し、がん、心血管疾患ならびに生活習慣病など様々な疾患をもたらす要因となります。そのため生体内には、活性酸素の傷害から生体を防御する抗酸化防御機構が備わっていますが、活性酸素の産生が抗酸化防御機構を上回った状態を酸化ストレスといいます。
(略)
活性酸素は、過剰な産生あるいは酸化ストレスによる老化、がん、生活習慣病発症との関連が注目されがちですが、白血球から産生される活性酸素(スーパーオキシド・過酸化水素など)は、体内の免疫機能や感染防御の重要な役割を担います。また細胞間のシグナル伝達、排卵、受精、細胞の分化・アポトーシスなどの生理活性物質としても利用されています。したがって、活性酸素を消去すれば良いという安易な考え方は禁物です。
活性酸素が、生体内で常に産生されるにも関わらず、我々が体内の恒常性を維持できるのは活性酸素から自己を防御する抗酸化防御機構が備わっているからです。抗酸化防御機構は、活性酸素の産生を抑制したり、生じたダメージの修復・再生を促す働きを有しています。
生体が有する抗酸化防御機構には、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどの内因性の抗酸化酵素に加え、ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド類、カテキン類など外因性の抗酸化物質もあります。実際には、活性酸素の産生と抗酸化防御機構が複雑に作用し合いながら生体内の活性酸素の産生と抗酸化防御機構の状態が決まります。(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html)
過酸化脂質がたくさんできると、ビタミンEの抗酸化作用も追いつきません。そこで、EといっしょにとってほしいのがビタミンCです。Cには独自の抗酸化作用がありますが、Eの抗酸化作用を高めるのも仕事のうちです。β-カロテン、ビタミンB2、セレンもそれぞれの持ち場で酸化による害を防いでいますから、併せてとりましょう。(中村丁次=監修『栄養成分バイブル』)
ここに、「それぞれの持ち場で」と記されているのだが、ビタミンEは抗酸化の最終段階で働くもののように思われる。それが、先に作用してしまうと、ウイルスの侵入に対して免疫反応を起こさなくてはならない場合には不具合が起こると言えるように思う。
発熱によって戦おうとしている時に、発熱を促す過酸化水素を消去するグルタチオンペルオキシダーゼを合成するセレン等を摂っては戦えなくなる。
しかし、発熱が長引いて活性酸素等によって細胞傷害が起こる場合は活性酸素を消去しなければならない。
また、活性酸素等によって血管組織が損傷を受けた時などには生体は血液を凝固させて修復しようとする。この時に必要なのがビタミンKだと言えるのではないだろうか?