クロムの摂取が不足すると、脳の回転が鈍くなり、記憶力も低下する。高血糖は脳に悪影響をおよぼすが、クロムには血糖値をコントロールするはたらきがあるからだ。クロムの血糖値をコントロールする効果は、クロムがインスリンと協力してはたらき、細胞に血液中のブドウ糖を取り込ませるからである。
じつに、クロムの欠乏している人では、高血糖、低血糖、高中性脂肪になりやすいのである。このためアメリカでクロムは、肥満や糖尿病の治療に利用されている。たとえば、アメリカ農務省のリチャード・アンダーソン博士は、糖尿病の治療に一日1000マイクログラムが投与されることで症状が改善したことを報告している。また、健常者がインスリン抵抗性や糖尿病を予防するためにクロムをとる場合、一日200マイクログラムを勧めている。
アメリカでの研究では、うつ病患者は、ブドウ糖の代謝が混乱していてブドウ糖に過剰に反応しやすいこと、クロムがやや不足していることが多いことが判明している。うつ病患者は、落ち込んだ気分を高めるために大量の砂糖をとりがちなことが原因になっているようだ。じつは、砂糖は体内に存在するクロムの排泄を促進するので、砂糖をとるとさらにうつ病が進行するのである。
クロムは、ブドウ糖の代謝を正しく進めるのに必須のミネラルである。(生田哲=著『心の病は食事で治す』p134)
(赤字表記は、メロメロピーのメモ)
クロムは血糖値のコントロールという点でマンガンと似ているようにも思われるのだが、「細胞に血液中のブドウ糖を取り込ませる」というのを読むと(インスリン)受容体の方に関わっているようにも思われる。
最初の心不全での入院の時、夫は、インスリン抵抗性の糖尿病にもなっていた。
亜鉛が足りなくて受容体が形成されないためではないかと私は考えていたのだが(その後の検査で亜鉛が欠乏していることははっきりしているので亜鉛欠乏は間違いないと思うが)、ここにクロムも関わっているように思える。
そこで、時折クロム食材を献立の中に取り入れていこうと思う。
カレー粉にもクロムは多い。が、カレー粉に最も多いのは鉄とモリブデン(https://calorie.slism.jp/117061/)。
クロムの元素記号は「Cr」だが、英語では「chromium」と表記されている。ヘムタンパク質の一種であるシトクロムは「cytochrome」のようだ。何か関連がありそうだ。
小腸から吸収されたCr⁶⁺は赤血球膜を通過し、赤血球内でCr³⁺に還元されてヘモグロビンと結合。Cr³⁺は赤血球膜を通過できず、血漿中のアルブミンやトランスフェリンと結合し、主要な代謝臓器である肝、腎へ運搬される。https://www.arakawa-yasuaki.com/course/