風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

種々のホルモンとカリウムの体内動態と、腎機能について(リンクによるメモと考察)

カリウムの体内動態をそれぞれのホルモンとの関連でまとめておく。

カリウムの体内動態とTTKG 国府台病院 リウマチ膠原病
https://www.ncgmkohnodai.org/%E6%B0%B4-%E9%9B%BB%E8%A7%A3%E8%B3%AA/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%AE%E4%BD%93%E5%86%85%E5%8B%95%E6%85%8B%E3%81%A8ttkg/

カリウムの体内動態
体内総K量3000mEq、細胞内に98%
食事から50~100mEq/日を摂取し同量を尿に排泄する。腎が正常なら10~1000mEqまで対応可能
食事で吸収されたKは肝細胞などに速やかに吸収されるため血中濃度は上昇しない。

血漿K濃度は次の2つの機序により調節されている。
急性調節(分~時間) 細胞内外シフト
慢性調節(半日~)  尿中へのK排泄

 

細胞内外シフトに影響する要素

インスリン

インスリンはNa/H交換輸送体(Na/H exchanger)を活性化させ、流入したNaを外に出すためにNa/KATPaseを活性化する。また、インスリンはNa/K ATPaseの数も上昇させる。結果としてブドウ糖と関係なくカリウムを細胞内に取り込む

 

β2カテコラミン

甲状腺ホルモンやβ2カテコラミンは細胞膜のNa/K ATPaseを活性化して、Kの細胞内移動を促進する。甲状腺ホルモンはNa/K ATPaseの数も上昇させる

 

アルカローシス

細胞内から細胞外への[H+]の移行→[K+]が細胞内に取り込まれる。

 

無機酸アシドーシス

Cl-は細胞内に入りにくいため、H+が細胞内に入るときにKが細胞外へ出て行く。対して有機酸アシドーシスの場合はH+と共に陰イオンも細胞内に入りやすいため、Kの放出が起こりにくい。呼吸性アシドーシスの場合もKは上昇しない。

 

(略)

 

≪腎臓でのK排泄≫

3、腎でのK排泄調整はアルドステロンの作用により遠位尿細管~集合管の主細胞で行われる。K欠乏状態ではK排泄は15mEq/日まで低下できる。(Na再吸収のため0には出来ない)またK過剰状態では>200mEq/日まで排泄可能となる。

6、X-に当たるのは代謝性アルカローシスのHCO3-や糖尿病でのケト陰イオン(βヒドロキシ酪酸イオン)であり、代謝性アルカローシスや高血糖による多尿ではK喪失の原因になる。

 

(略)

 

高K血症、低K血症の原因を検索する上で、アルドステロン活性の評価が重要である。

理論的には皮質集合管終末部のK濃度がアルドステロン活性を反映するが、この部分のK濃度を直接測定できない。

従って、皮質集合管以降で再吸収される水分量を考慮して最終尿中K濃度を補正し、血漿K濃度との比を表したTTKGが臨床的に用いられている。

この指標は以下の仮定が前提となっている。

 

(略)

 

≪高K血症の場合≫

通常の食事を摂っている成人ではTTKGは8~9である。

過剰なK負荷がある場合は、尿中のK分泌増加を反映してTTKGは11程度まで上昇する。従って、高K血症があるにもかかわらず、TTKGが7以下、特に5以下に低下している場合は、アルドステロン作用の低下が強く疑われる。(アルドステロン濃度測定、診断的治療としてミネラルコルチコイド投与が有用)

有効循環血液量低下による高K血症ではアルドステロン分泌は亢進しており、TTKGは7~9程度に保たれる。但し、腎血流が低下しているため総K排泄量は減少する。

 

≪低K血症の場合≫

低K血症にもかかわらずTTKG>10以上の高値の場合は、腎性K喪失、特にアルドステロンの過剰作用を疑う。

利尿薬を多用した場合の低K血症ではTTKGは正常かやや高値程度で10は超えない。

TTKGが低下している場合は低K血症の原因が腎外にあると考える。下痢や嘔吐に伴う大量のK喪失を疑う。

高齢者などで慢性的なK欠乏でもTTKGは低下する。

 

 

細かな関連を分析していくと非常に難しいようなのだが、大雑把にインスリン甲状腺ホルモン、ドーパミンやアドレナリン等のカテコールアミン、そしてアルカローシスの場合はカリウムは細胞内に取り込まれる。そしてこれらは、血中のナトリウム濃度を上げ血液量を増やし血圧も上げるのではないかと思われる。

 

また、ストレスがかかって副腎皮質ホルモンが放出された場合に、副腎皮質ホルモン中の電解質コルチコイド(アルドステロン)が作用すれば、ナトリウムイオンを再吸収しカリウムイオンの排泄を促進して水分量を調節する。ストレス状態が長く続けば、ナトリウム濃度が上がり血液量が増え血圧を上げる。これが長期に続けば調整が破綻し、うっ血性心不全に至ると思われる。

 

ARB系降圧剤(アンジオテンシン受容体拮抗薬)の服用ではアルドステロンの分泌が抑制されるので、血中ナトリウムは低下し、逆に高カリウム血症となると考えられる。

 

血液中の酸素が不足すると、糸球体旁複合体からエリスロポエチンEPO)という造血ホルモンが分泌され、これが骨髄の赤血球系幹細胞に働いて、赤血球の生成を促します。腎不全になると、腎機能が働かなくなり、腎臓への血行が低下し、EPOの産生がダウンして、貧血を起こします(腎性貧血)。(『目でみるからだのメカニズム』p99)

 

 慢性腎不全の貧血は傍糸球体装置における造血ホルモン・エリスロポエチン産生低下による骨髄幹細胞での赤芽球への分化障害に起因する。腎性貧血の治療としてエリスロポエチンの注射が行われるが、亜鉛の投与により注射量を減らすことができる。福島らは、腎機能(e-GFR)と貧血、血清亜鉛濃度の関連性を検討した。
 エリスロポエチン不応性貧血においても、60%の症例で亜鉛投与の併用によるエリスロポエチン減量効果について記載されている。(『亜鉛の機能と健康』p64)