風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

塩原哲夫=編『ステロイド外用薬パーフェクトブック』(アトピーとの闘い最終章)

 アトピー性皮膚炎(AD)は遺伝的要因も含んだ多因子性の疾患であり、疾患そのものを完治させるような薬物療法はなく、治療は対症療法を中心に行われる。このようなADの炎症を十分に鎮静しうる薬剤で、その有効性と安全性が科学的に立証されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリスム軟膏(カルシニューリン阻害外用薬)である。
 しかし、皮膚の炎症を抑えるために塗布していたステロイド外用薬による接触皮膚炎が生じていることを気づかずに外用を継続することによって、皮膚症状の治癒が遷延し難治化する場合がある。

 

(略)

 

 また、厚生労働省重篤副作用総合対策検討委員会で取りまとめられた重篤副作用疾患別対応マニュアルのなかの薬剤による接触皮膚炎(URLは省略)に、医師、薬剤師などの医療関係者による副作用の早期発見のポイントや接触皮膚炎を生じやすい外用薬、対応のポイント、患者への説明などがわかりやすく記載してあるので、ぜひ参考にしていただきたい。(塩原哲夫=編『アトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック』(南山堂)より)

赤字表記は、管理人メロメロピーによる)

 

皮膚科に行って、ステロイド薬を塗って2週目に入ってからステロイドを塗ると痒くなったと訴えたが、医師からは「薬を塗って痒くなるということはない」と言われた娘が、前々からチェックしていたこの本ステロイド外用薬パーフェクトブック』を買ってきた。

この本は2015年12月5日1版1刷のものだが、ここに書かれている細かなパッチテストによってステロイドによる接触皮膚炎への対応を行っている病院はそれほど多くはないのではないかと思える。臨床の現場でこういったことが通常になるにはまだまだ時間がかかりそうである。

 

ステロイド薬はTh1、Th2のいずれをも抑制するが、自然免疫、すなわちTh1の抑制作用が強い。このため急性炎症の鎮静化には優れるが、長期使用を行えばTh2反応へのシフトが起こり、アレルギー疾患憎悪の方向に働く可能性がある。(『ステロイド外用薬パーフェクトブック』)

 

前々からリウマチにもアトピーにもステロイド剤を使うということに納得がいかなかったのだが、これを読んでそういうことだったのかと思った。

 

ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞の2種類があり、Th1とTh2のバランスがとれている場合には免疫系は正常ですが、Th2細胞がはたらきすぎるとIgE抗体が産生され、アレルギー疾患が発症すると考えられます。(柏崎良子=著『栄養医学ガイドブック』p185)

 

さらに、

白澤:花粉症などのアレルギーには、このヘルパーT細胞が密接に関わっているんです。ヘルパーT細胞には、1型(Th1)と2型(Th2)があり、ふたつのバランスが保たれているときは、身体は健康な状態です。でもTh2が優位な状態になると、花粉症などのアレルギー反応が強く出るようになってくるのです。

 

平松:花粉症にそんなことが関係あるとは、知りませんでした。

 

白澤:Th2が優位になると、発がんの危険も増えるんですよ。また一方、Th1が優勢だと、自分の細胞を攻撃する自己免疫疾患などに罹る割合が高くなります。

 

平松:では、Th1とTh2のバランスを保つためには、どうすればいいのですか?

 

白澤:Th2が優位なとき、乳酸菌が非常に有効です。乳酸菌にはTh1を活性化する力があるんですよ。だからヨーグルトやチーズ、味噌、醤油や漬物など乳酸菌が豊富なものを食べることで、Th1、Th2のバランスがきちんと整うんです。納豆にも同様の力がある。納豆内の納豆菌も、Th1を活性化することが実証されています。

(『クロワッサン特別編集 免疫力をアップする、発酵食のすすめ』(マガジンハウス)より抜粋引用)

 

『病気の地図帳』(講談社によると、リウマチなどのような自己免疫疾患はⅢ型アレルギー(免疫複合体症)に分類されている。

アトピー性皮膚炎はⅠ型とⅣ型に入るようだ。接触皮膚炎はⅣ型アレルギーである。

Ⅰ型アレルギーは組織中の肥満細胞または好塩基球に固着したIgE抗体と外来の抗原が反応することにより遊離される化学伝達物質によっておこる。アトピーは、IgE抗体を産生しやすい現象をいう。

(略)

Ⅳ型は抗原によって活性化されたTリンパ球による反応である。(山口和克=監修『病気の地図帳』)