風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

鉄にしても銅にしても・・(アトピーとの闘い最終章)

 シャペロン(chaperone)の語源は,社交界にデビューする婦女子が華やかな貴婦人に成長するための介添え役であり,これが転じて,生物学では熱ショックタンパク質HSP)に代表される蛋白質のフォールディング過程を制御するタンパク質因子を示す語として使われている。銅シャペロンとは,CRT1などの細胞膜上のトランスポーターを介して取り込まれた銅が,銅を利用する細胞内小器官やタンパク質にたどり着くまでの輸送体として機能するタンパク質のことを意味している。また銅が細胞質中で1価と2価の状態を遷移し,これにより活性酸素種を産生することがないように,目的の細胞内小器官やタンパク質にたどり着くまで,1価の状態のまま銅シャペロンに結合している。これはあたかも良家の子女(銅)が成長(輸送)過程で,非行に走る(毒性を発現する)ことのないように,お目付け役(シャペロン)が必要であることに見立てられ,まさにシャペロンという語が適切である。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/69/2/69_136/_pdf

 

ヘムは酸素呼吸を行うすべての生物の生命維持に欠かすことのできない分子である.しかし,その有用性はタンパク質に結合している場合に限られ,ヘムタンパク質の新陳代謝などによって生じた遊離のヘムは,酸素分子と化学反応を起こすことで活性酸素種を生じる有害な分子(プロオキシダント)である.https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880171/data/index.html

 

鉄にしても銅にしてもタンパク質と結合していないと活性酸素を引き起こして凶暴化するようだ。

 

コラーゲンはタンパク質であり、構成アミノ酸の組成はグリシン33%、プロリン13%、アラニン11%、ヒドロキシプロリン9%、その他34%となっています。

(略)

グルタチオン以外にも、システインメチオニンヒスチジンが抗酸化作用を有することも知られています。http://platine.web.fc2.com/page043.html

 

ここでヒスチジンが抗酸化作用を有する」と記されているのは、ヒスチジンが銅輸送タンパクであるセルロプラスミンを形成するアミノ酸であるためだと考えられる。

また、このセルロプラスミンが合成されなければ、鉄が二価から三価へと酸化されず、トランスフェリン(鉄タンパク質)に結合できずに臓器への沈着を起こす。

(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%83%B3

 

 

この揺らぎはヘムのアナログである亜鉛ポルフィリン錯体を結合させると消失するという結果が得られた(図5)42, 43).https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880171/data/index.html

 

肉芽組織の過剰反応を抑制する試みとして,β-APNを用いたり,D-ペニシラミンを用いたり,高濃度の亜鉛与えたりする方法も適用時期を考えれぽ臨床効果が大きいのではないかと推定される.これらの試みは,まだ実用の段階には至っていないが,今後さらに検討され,骨膜を扱う手術の改良,架橋阻害剤を利用した術後瘢痕やケロイドの治療の開発に,大きな期待を抱かせるものと考える.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms1967/27/9/27_9_1329/_pdf

 

また、「ヘムの代謝」においても、瘢痕やケロイドの過形成を抑制するためにも、適切な時期での亜鉛摂取が有効であるように思われる。

 

それにしても、「良家の子女(銅)が成長(輸送)過程で,非行に走る(毒性を発現する)ことのないように」って、この喩え面白い。

 

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