S-アデノシルメチオニン(S‐adenosylmethionine、SAM、SAM-e)とは、アデノシンとメチオニンとから生体内で合成される生体内物質である。補欠分子族の一種でメチル基供与体として作用する。活性メチオニン(active methionine)とも呼ばれる。略号はSAMまたはAdoMet。
アデノシンとメチオニンとはメチルスルホニウム結合を介して連結しているが、このメチルスルホニウム結合は高エネルギー結合であり、このメチル基がコリン・クレアチニンなどのメチル化合物生成に利用される。メチル基を失ったS-アデノシルメチオニンはS-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)となる。
(略)
一度SAMがコリンにメチル基を提供すると、クレアチン、カルニチン、DNA、転移リボ核酸、ノルアドレナリンおよび他の化合物の生成の際にS-アデノシル-ホモシステイン(SAH)に変換される。通常の状況の下では、ホモシステインはビタミンB6、ビタミンB12、葉酸(SAMの主な補因子)が存在する状態で、最終的にはメチオニン、SAM、またはシステイン、グルタチオン、その他の有用物質に変換されて出てくる。これらのビタミンが十分な量が存在しない場合、SAMはしっかりと分解しないことがある。結果として、十分な利益が得られず、またホモシステインが危険なレベルに増加する可能性がある。
高レベルのホモシステインは動脈硬化(動脈の硬化や狭窄)と結びついており、同様に心臓発作、脳卒中、肝臓の損傷、場合によりアルツハイマー病のリスクの増加させる。したがって、SAMと一緒にしばしばビタミンBサプリメントが飲まれる。これらのビタミンはホモシステインを他の有用な化合物へ代謝させるのを助ける。[21] SAMの副作用が不眠症であるという別の報告がある:したがってサプリメントは多くの場合午前中に飲まれる。[13]軽度の副作用の他の報告では、食欲不振、便秘、悪心、口渇、発汗、および不安・神経過敏を含んでいるが、これらの副作用はプラセボ比較試験でプラセボ群中でもおよそ同じ発生率で生じる。一部の利用者はわずか50ミリグラム/日で不安の増加を報告している。
SAMに関する広範囲なMEDLINE検索で、ケーガンは非経口のSAMで治療された15の治療から1人の患者の躁病の誘導を発見した。同じレビューで、リピンスキーは、双極性障害(計9のうつ病患者の調査であった)の2人の患者に躁病の明らかな誘導を発見した。[22]躁も鬱も、寛解の後でさえもせん妄を引き起こす可能性があり、命にかかわる状態となりえる。[23] 抗うつ薬は概して、躁鬱病の人に躁病あるいは軽躁病を誘発する懸念がある。
SAMはインスリン抵抗性を減らす。[25]このことは経口血糖降下薬と併用されたとき、低血糖につながる可能性がある。(https://ja.wikipedia.org/wiki/S-%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%8E%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%81%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%83%B3)
脂質系栄養素:コリンの普及に際し、アメリカの現状から
100 g 当たりで総コリン量の最も高い食品は、牛レバー (418 mg)、鶏レバー (290 mg)、卵 (251 mg)、小麦胚芽 (152 mg)、ベーコン(125 mg)、乾燥大豆 (116 mg)、豚肉 (103 mg) である。Bet はまた、メチル供与体に対してコリン利用を節約すると考えられている。100 g 当たりで最高の Bet 含量を持つ食品は、小麦ふすま (1505 mg)、小麦胚芽 (1395 mg)、ホ ウ レ ン ソ ウ ( 7 2 5 m g ) で あ る
コリンは、アセチルコリン、リン脂質、メチル供与体ベタインの前駆体として機能する。コリンに対する目安量(AI)を算定するために用いた第一条件は血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ量測定によって評価された肝臓障害予防である。コリンの成人に対する AI は男性で 550 mg/ 日で、女性で 425 mg/ 日である。これは、食品や食品サプリメントからのコリン摂取の典型的な概算とはならない。なぜなら、食事中のコリンは、遊離のコリンで利用され、Pcho、PC、GPC、SM のようなエステルとして結合されている。コリンの大量摂取による危険な有害作用は血圧低下であり、それと共にコリン作動性副作用に基づく原因が確認されているもの (例えば、発汗と下痢)および魚臭様体臭がある。成人に対する上限摂取許容量 (UL) は 3.5 g/ 日である
トリメチルアミン
魚類は、浸透圧調節作用を持つ成分として、トリメチルアミン-N-オキシド (TMAO) を持ち、還元されることでトリメチルアミンとなる。トリメチルアミンは魚が腐敗したときの臭いの原因の一つである。食品中に含まれるレシチン(コリン)が一部の腸内細菌によりトリメチルアミン(TMA)に代謝され、さらに肝臓においてFMO酵素によりTMAOへと代謝され、これがマクロファージを変化させアテローム性動脈硬化などの心血管疾患に結びついているとする論文[3]がある。また赤肉などに含まれるカルニチンも同様に腸内細菌 - 肝臓代謝を経てTMAOとなりこれがアテローム性動脈硬化のリスクを高めているという報告[4][5]もある。
高濃度の塩化ナトリウム (NaCl) や尿素などにさらされる哺乳類の腎髄質 (renal medulla) ではソルビトール、ベタイン、イノシトール、タウリンやGPCなどが主にオスモライトとして利用されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%A2%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88
その他、リシンはカルニチンの前駆体である。メチオニンはコリンの前駆体である。クレアチンはグリシン、アルギニン、メチオニンを材料に合成される。ヘムのポルフィリンはグリシンを材料に合成される。タウリンはシステインから作られる。グルタチオンはシステイン、グルタミン酸、グリシンからなるトリペプチドである。一酸化窒素(NO)産生の材料はアルギニンである。きりがないからこの辺でやめよう。
クレアチニン(Cr)はクレアチンの代謝最終産物で,クレアチンから非酵素的にH2Oが取れた無水物である。
クレアチンは,グリシン(G),アルギニン(Arg),メチオニン(Met)の3つのアミノ酸から肝や腎で合成され,その大半はクレアチンまたはクレアチンリン酸として骨格筋に保有されている。筋肉細胞内では,クレアチンリン酸からCK反応によってATPが生成し筋収縮活動に利用され,その代謝産物として生成したクレアチンからクレアチニンが産生される。
血中非蛋白性窒素化合物の一つであるCrは腎糸球体から濾過され,ほとんど再吸収されることなく尿中に排泄される。したがって血中Crの測定は,腎での濾過機能の指標となり,そのクリアランスは腎機能を評価する上に有用である。https://test-guide.srl.info/hachioji/test/detail/000750123
アミノ酸から合成される主な含窒素化合物のまとめ
ピリミジン塩基←グルタミン+アスパラギン酸
コリン←セリン+メチオニン
一酸化窒素(NO)←アルギニン
尿素←アルギニン