服用前、血圧を下げるために食べていたものが、薬を飲み始めた後には、「毒」になることもある。
その代表的な例が「カリウム」を含む食品である。
高血圧の人には、カリウムを多く含む食べ物が勧められる。高血圧の原因となるナトリウムを排出する働きがあるからだ。
高カリウム食品で代表的なのは、ワカメ、ヒジキなどの海藻類、サトイモ、ジャガイモなどのイモ類、バナナなどの果物である。ワイン(赤白)や健康食品のクロレラも含有量が多い。
しかし、こうした食べ物を摂っても血圧が下がりきらず、降圧剤を服用し始めた途端、状況は一変する。あなたが服用している薬が、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)やアルドステロン拮抗薬である場合は、それまで通りに高カリウム食品をたっぷり食べ続けていると大変なことになる。
元東京逓信病院院長の平田恭信氏が言う。
「ARBやアルドステロン拮抗薬を飲みながら、カリウムを多く含んだ食材をたくさん摂取すると、体内のカリウムの濃度が高くなりすぎる『高カリウム血症』を発症する可能性があります。
とくに、カリウムを排出する機能を持つ腎臓に問題を抱えている人や、糖尿病の人は注意が必要です」
高カリウム血症は、四肢の痺れや吐き気、筋力低下といった症状が知られているが、不整脈を引き起こし、最悪の場合、死に至ることもある。(『おとなの週刊現代 クスリの危ない飲み方、選び方』p74~75)
カリウムの体内動態ということは、もうずっと考え続けてきたことである。
利尿剤とARB系の降圧剤は血中カリウム濃度という点においては、低カリウム血症と高カリウム血症の逆となる。だからこの二つを服用している場合は体内の電解質バランスは保たれるのではないか、と私は考えていた。しかし、利尿剤の服用を止めARB系降圧剤だけとなると血中カリウム濃度が上がり高カリウム血症となる恐れがあると考えられる。
カリウムは圧倒的に細胞内に多いが、組織間と細胞内の間ではナトリウム・カリウムポンプによる能動輸送でカリウムは細胞内に入るが、増えすぎたカリウムはカリウムの出入り口から組織間へと出て行くことになる。カリウムが細胞内に入るためには能動輸送するためのエネルギーが必要となり、ここでリンやブドウ糖が必要となる。
カリウムが多すぎて細胞内に入れないと筋肉は弛緩したまま収縮せず、組織間に水分がうっ滞したままとなるのではないだろうか。
さらに、ブドウ糖の腸管からの吸収のためにはナトリウムが必要になるから、低ナトリウム状態ではエネルギーも造られにくくなり、組織間に溜まった水は排出されずに貯留することとなる。https://meromeropy77.hatenablog.com/entry/2019/03/08/093328
前にクリスマス祝会のあった午後に酷い状態に陥ったことがあった。この時は、カリウムの多い物を摂り過ぎていてナトリウムが阻害されたと考えていた。
昔は熱が出てもお粥など食べたがらない人だったのに、この前のクリスマス、ナトリウム不足で倒れた時、塩で調理した重湯を口にして美味しいと言っていた。しょっぱめの市販の味噌汁を飲んで、「あぁ、おいしいなぁ」と言っていたのだ。
もう、このへんでやめておこう。http://myrtus77.hatenablog.com/entry/20180308/p1
ナトリウムが不足すると、「意識がもうろうとする(頭痛、めまいをおこす)。脱水症状をおこす(日射病)。吐きけ、嘔吐、胃酸が減少する(食欲不振、極度の疲労)。腎臓が弱る 筋力が低下する」(中村丁次=監修『栄養成分バイブル』)と記されている。http://myrtus77.hatenablog.com/entry/20171229/p1
これを逆に、上で引用した「高カリウム血症」の観点から見てもピッタリ当てはまる。
「高カリウム低ナトリウム」で意識がもうろうとするのは、ブドウ糖が取り込まれず低血糖に陥っているためである。また、ブドウ糖が取り込まれないためにカリウムが細胞内に入れず心筋が弛緩したままとなり、最悪の場合、死に至る。
あの頃はやはりまだカリウム神話に取り憑かれていた(いや、今でも血圧を下げるためにカリウムの多い物を摂った方が良いのではないかという考えが時折頭をもたげるのだが)ので、カリウムの多い野菜や果物をやたら食べさせていたのだ。https://meromeropy77.hatenablog.com/entry/2020/03/19/152327
これまで、「ARB系の降圧剤を服用している時はカリウムの多い物は控えるように」等という指導は一度もされなかった。むしろカリウムの多い物を摂ってナトリウムを控えるという方ばかりが強調されてきた。入院中にARB系の降圧剤を服用しながら減塩醤油が出されていたのだ。
ほんとうに、私の闘いはこれから始まるのだと思う。しかし今は何も出来ない。私自身の力を蓄えていく他はない。
主にあって、その偉大な力によって、強くなりなさい。(エペソ人への手紙6:10)