風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

胸腺と副腎皮質ホルモンと癌の関係(ネットの情報から考える)

 

youtu.be

(1:41~)食べ物からのビタミンB12、ビタミンB6、葉酸、そしてメチオニンの摂取量を計算しました。これらのビタミンやメチオニンというのはDNAの合成やメチル化といった重要な働きをしている栄養素です。

そしてそれぞれの摂取量と食道癌の発症リスクとの関係を調査しました。

その結果、お酒を飲まない人の集団では、ビタミンB12を多く摂取していたグループでは食道癌のリスクが2.8倍にも上昇していました。また、メチオニンを多く摂取していたグループではリスクが3.5倍に上昇していたということです。

一方で、お酒を飲む人についてはこのような関係はみられませんでした。

また、ビタミンB6と葉酸については食道癌のリスク上昇はみられませんでした。

もう一つは、血液中のビタミンB12の濃度が高い人は、その後、がんになるリスクが高くなるという研究があります。…。特に、肝臓癌、膵臓癌、そして骨髄系の癌

 

 

myrtus77.hatenablog.com

そしてノルアドレナリンからアドレナリンへの変換でメチオニンVB12が働く。

この過程は最終的に副腎皮質ホルモンを合成するから、ストレスには強いと言えるかも知れない。(逆から言えば、ストレスがかかりすぎると銅は欠乏すると言えるだろう)

 

この図に記したように、メチオニンVB12は最終的に副腎皮質ホルモンを放出させる一歩手前で働く栄養素である。

一番上にリンクしたツイートでは、胸腺はコルチゾールが急増すると最初に萎縮する臓器の1つである。わずか24時間で半分に縮んでしまいます」と記されている。

副腎皮質ホルモンが放出されると胸腺が萎縮するというのだ。

 

「胸腺」というのは「骨髄で産生されるリンパ球を、T細胞に育成するための教育センター」と、『目でみるからだのメカニズム』に記されている。

 

T細胞の中には癌細胞の貪食に働くものもあると言われている。

 

ストレスなどが過剰にかかり副腎皮質ホルモンが過剰に放出されると、癌になりやすくなるというのは、こういうところから来ているのかもしれない。

また、ストレスがかかっていなくても、こういった栄養素を過剰に摂り過ぎると副腎皮質ホルモンが合成されて、胸腺が萎縮し、癌細胞が増殖すると言えるのかも知れない。

 

このYouTube動画で言われているVB12とお酒との関係はまた別の記事で《酒さ様皮膚炎》との関連で考えたい。

 

myrtus77.hatenablog.com眠れなかった日の夕食は秋刀魚の干物だった。秋刀魚にはVB12が多い。B12はノルアドレナリンをアドレナリンに変換する。

鶏肉にはパントテン酸が多く含有されている。B12やパントテン酸によってアドレナリンから副腎皮質ホルモン合成へと変換が進んだろうと思う。

副腎皮質ホルモンというのは、明け方の目が覚める前に放出されるホルモンで日中の活動を支える。つまり夜に放出されると眠れなくなるのだ。

私は煮豆にも岩塩を使っていたから、これはちょっとカルシウム過多になりそうだなと思っていたのだが、この夜はツイッターで流れてきた不愉快な情報を目にして怒り狂って眠れなかったらしい。

アドレナリン等の交感神経性の神経伝達物質は闘いのためのものだ。活動のために必要なものなのである。

なので、朝食で摂るのが良いように思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「プラスミン」についてこんなサイトをメモっていたのに・・。

「プラスミン」についてこんなサイトをメモっていたのに忘れていた。

 

血栓溶解の主役、プラスミン

 血栓を溶解する主役となるのが、プラスミンというタンパク質です。血液中ではプラスミンはタンパク質分解酵素の活性を持たないプラスミノーゲン(プラスミンの前駆物質)として存在しています。プラスミノーゲンは肝臓で合成、分泌され、血液中を循環しています。プラスミノーゲンから酵素活性を有するプラスミンへの変換は組織プラスミノーゲンアクチベータ—(t-PA)によって行われます。このt-PAは血管内皮細胞で合成され、530個のアミノ酸からなる糖たんぱく質として分泌されます。このt-PAがプラスミノーゲンの561位のアルギニンと562位のバリンの間を切断することにより、プラスミノーゲンをプラスミンに転換し、このプラスミンにより血栓の溶解が行われるのです。


血液は流れているのに効率よく血栓を溶解する

 せっかくプラスミンができても、血管内の血液は流れているため、プラスミンがその流れにそって、血栓の存在していないところで酵素活性を示してしまうと不都合であるため、血液の流れに負けずに血栓の上で酵素活性を発揮することができなければいけません。すなわち、循環している状態ではt-PAはプラスミノーゲンをプラスミンにほとんど転換しません。まれに循環している状態でプラスミンが生成されても血液中のプラスミンインヒビターと結合することにより、プラスミンは失活します。しかし、t-PAは血液中を流れているフィブリノーゲンとはほとんど結合しませんが、血栓となったフィブリンとは特異的に結合します。このことによりフィブリン(血栓)上でプラスミノーゲンはt-PAによりプラスミンに転換され、このプラスミンもフィブリンと結合した状態で、血液の流れにより流されることなく、効率よくフィブリン血栓を溶解することができるのです。

https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0802.html

 

 

 

 

 

 

 

 

コラーゲン受容体 GP(glycoprotein) VI について(リンクによるメモと考察)

コラーゲン(collagen)

血管壁の主要な細胞外物質。血管壁の強度を保つ構造タンパク質。人体のタンパク質の約25%を占める。

19種類にも上る分子種が報告されているが、血管壁には線維性コラーゲンであるタイプI、IIIとシート状構造のタイプIVが豊富に存在する。タイプIとIIIコラーゲンは、約100 kDaのポリペプチド鎖3本がへリックス構造をとりながら会合した直径約1.5nm、長さ約300nmのコラーゲン分子が長軸方向に会合し、ロープ状にねじれながら伸張し分子間架橋で補強された構造をしている(図)。コラーゲン分子のへリックス部分には(Gly-X-Y)nで示される規則正しい繰り返し構造が見られ、Xの部位はPro、Yの部位はHyPであることが多く、約10%の頻度で存在する。このGly-Pro-HyPは血小板コラーゲン受容体glycoprotein(GP) VIの結合モチーフであり(1)、血小板刺激薬であるコラーゲン関連ペプチド(collagen-related peptide; CRP)の基本構造として用いられている。タイプIコラーゲンのα1(1)鎖上にはコラーゲン受容体インテグリンα2β1の結合モチーフの一つであるGly-Phe-HyP-Gly-Asp-Argも約0.4%の頻度で存在する(2)。タイプIVコラーゲンは血管内皮基底膜の主要成分で、網目状構造を形成している。タイプIやIIIコラーゲンと異なり、GPVIを介した血小板凝集活性はほとんど認められない(3)。


【病態との関わり】

 コラーゲンは強力な血小板活性化物質であるため、血小板側から検討したコラーゲンと血栓症の関わりについて報告が為されている。実験動物ではGPVIの阻害により脳梗塞巣の縮小が認められていること(4)、急性冠症候群発症リスクとGPVIの発現数に正の相関がみとめられること(5)などである。骨形成不全症は点突然変異でグリシン残基が他のアミノ酸に置換される等の理由によりタイプIコラーゲンの形成不全が生じ発症する遺伝疾患である。タイプIコラーゲンは骨にも多く存在するため、骨形成不全として気付かれるが、血管壁も脆弱となるため打撲時等により血管性紫斑が生じやすい。大動脈弁弁輪拡大や逆流症、僧帽弁逸脱症、動脈解離等が報告されているが、健常人に比べてこれらのリスクが高いのかはわかっていない(6)。Ehlers-Danlos症候群はコラーゲンIやIII、V等の線維性コラーゲンの異常症であり、異なる遺伝子異常により病型が分けられる。血管強度の低下により血管性紫斑が生じやすく、動脈破裂に至る場合もある。血小板凝集活性の異常が生じるとの報告もある(7-9)
https://jsth.medical-words.jp/words/word-250/

 

「タイプIコラーゲンは骨にも多く存在するため、骨形成不全として気付かれるが、血管壁も脆弱となるため打撲時等により血管性紫斑が生じやすい」

コラーゲンは血小板活性化物質だから、コラーゲンによって血栓が生じる可能性があるということだが、タイプ1コラーゲン形成不全では血管性紫斑が生じる、ということでもある。血管性紫斑血小板減少性紫斑病というものと同じかな?

 

GPVI ( glycoprotein VI )

【概要】

 GP(glycoprotein) VIはコラーゲン受容体であり、高ずり応力下ではコラーゲンに結合したフォン・ヴィレブランド因子(VWF)とGPIb/IX/V complexの接着後、最初に血管内皮下のコラーゲンに結合することにより活性化シグナルが惹起され、インテグリンα2β1やインテグリンαIIb/β3の活性化とともに血小板活性化物質(トロンボキサンA2;TXA2,アデノシン二リン酸;ADPなど)を放出させる。近年、ラミニンもGPVIに結合することが報告されている。

 

【構造と機能】

 血小板、巨核球に限定的に発現しているGPVIは、イムノグロブリンスーパーファミリーに属し、Fc receptor (FcR)γ-chain分子のホモダイマーと複合体を形成する61/65kDa(非還元型、還元型)の血小板糖タンパク受容体である。血小板あたり約3,500コピーのGPVIが発現しており、コラーゲンによりGPVIがクラスタリングされるとFyn、LynがFcRγ-chainのimmunoreceptor tyrosine-based activation motif(ITAM; YXXL-(X)10-12YXXL)のチロシンをリン酸化する。Sykがこのリン酸化チロシンに結合し活性化されるとLAT、SLP-76、Val1/3をチロシンリン酸化、Tec/Btkも加わりphospholioase Cγ2(PLCγ2)が活性化される。PLCγ2はPIPをdiacylglyserol(DG)とinositol 1,4,5-triphosphate(IP3)に加水分解する。これらはそれぞれプロテインキナーゼC活性と細胞内ストアからのカルシウムの放出を惹起し血小板を活性化する(図)。

 

【ノック・アウトマウスの表現形、病態との関わり】

 GPVI/FcRγ-chain ノックアウトマウスは、種々の in vivo血栓形成マウスモデルにて血栓生成が抑制されるものの、Tail-bleeding timeが軽度に延長するのみである。また、この血小板はコラーゲン惹起血小板凝集が欠如している.GPVI欠損患者においては、出血症状は一般的に軽度であるが、この患者の血小板もコラーゲン反応が欠損している。

 

【その他】

 血小板の活性化に伴い血小板表面上のGPVIはタンパク質分解酵素であるADAM10により切断され、血中の可溶性GPVI濃度が上昇すると報告されている。可溶性GPVI測定は血栓症診断マーカーとなり得ることを示唆しており、現在ELISA法にて測定可能である。

 

https://jsth.medical-words.jp/words/word-136/

 

血栓にコラーゲン受容体であるGP(glycoprotein)が関わっているということなのだが、glycoproteinというのはコロナウイルスのスパイクタンパク質にあたるものだったかと思う。

Applied and Environmental Microbiology, 81: 1616-1621 (2015)より引用

 

コロナ感染やコロナワクチン接種後の血栓症に、コラーゲン受容体が何か関わっているように思える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「発熱で免疫細胞が活発化する仕組みを解明」(リンクによるメモと考察)

発熱で免疫細胞が活発化する仕組みを解明

 病気になったときに発熱するのは、私たち自身が病気と戦う力を増強するためかもしれない。そうした免疫のメカニズムを裏付ける分子レベルでの研究結果を、自然科学研究機構生理学研究所・岡崎統合バイオサイエンスセンターの加塩麻紀子研究員と富永真琴教授らのグループが、米国科学アカデミー紀要(PNAS)オンライン版(9日付)に発表した。

 グループの研究は、体内に入った病原体や異物を食べる免疫細胞の「マクロファージ」が産出する活性酸素(過酸化水素の一種)と、その細胞膜に存在する陽イオン透過チャネル「TRPM2」の働きの関係を、温度反応性の面から解明したものだ。

 TRPM2が体温近く(約37℃)で活性化する“細胞の温度センサー”としての働きをもつことは、富永教授らが2006年に明らかにしている。今回のマウスの培養細胞による実験で、TRPM2は過酸化水素が存在しない状態では48℃付近の高い温度でしか反応せず、過酸化水素があると体温の平熱域(約37℃)でも活性化するようになることをつかんだ。さらにマクロファージは、過酸化水素があると、平熱域よりも発熱域(約38℃)で強く反応することが分かった。TRPM2をなくしたマクロファージでは、平熱域と発熱域で変化はなかった。

 富永教授によると、過酸化水素の作用はTRPM2に対する酸化反応で、過酸化水素がTRPM2の働きを調節する「スイッチ」の役割をしている。今回の実験では、TRPM2に作用する部位も特定された。マクロファージの働きを調節する新たな薬剤開発や治療戦略を提供できる可能性が出てきたという。

https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20120411_02/index.html

 

ここでは、「「マクロファージ」が産出する活性酸素(過酸化水素の一種)」と言われているのだが、『病気の地図帳』(講談社には好中球が活性酸素やタンパク分解酵素を放出して傷害すると記されている。

感染の最初に働くのが好中球だから、この時の活性酸素はスーパーオキシドなのかも知れない。好中球によってスーパーオキシドが放出された後、体内に亜鉛、銅、マンガンなどの栄養素がある場合、スーパーオキシドジスムターゼが合成され、スーパーオキシドを消去する。消去されたスーパーオキシドの一部が過酸化水素へと変換される。

この過酸化水素存在下で、マクロファージは平熱域よりも発熱域(約38℃)で強く反応するということだ。

つまり、過酸化水素存在下では、細胞の温度センサーであるTRPM2体温近く(約37℃)で活性化され、マクロファージも反応する。さらに過酸化水素存在下では、マクロファージは発熱域(約38℃)で強く反応するのだ。

 

この働きには、活性酸素を消去するスーパーオキシドディスムターゼを合成する栄養素が重要になってくると思われる。亜鉛、銅、マンガン、鉄などの。

myrtus77.hatenablog.com

カルシウム拮抗薬や亜鉛を排出する利尿薬等、夫が4種類の薬を飲んでいた時はいつも37度前後の微熱を出していた。逆に言えば高熱を出すことが出来ないでいた。そして入院中にいつの間にかつけていた傷がなかなか治らないということがあった。

昨年利尿剤の服用が隔日になった後、引っ越しの疲れも出たせいか高熱を出した。

カルシウム拮抗薬も3日に一度で今は利尿剤も飲まなくなっているのだが、先日はまた高熱を出した。インフルエンザの検査は陰性でコロナはどうか分からない。解熱剤にアセトアミノフェンを主成分とするカロナール錠を貰ってきたのだが、病院に行った時が39度近くで一番高く、それ以後38度以上の熱が出なかったので飲まなかった。

(略)

ウイルスなどに感染して熱を出している時に、ステロイド、非ステロイドに拘わらず解熱剤や抗炎症薬を飲んでしまうとウイルスと闘えなくなって重症化するということが起こってくるのではないだろうか?
逆に、高熱が続いて肺炎や敗血症等を起こした場合はステロイド電解質コルチコイド)が有効に働くと言えるように思う?

 

ミトコンドリアのスーパーオキシドディスムターゼ合成のためにはマンガンが必要だろう。

細胞質では、亜鉛と銅が必要となる。

さらに、好中球が放出するタンパク分解酵素マトリックスメタロプロテアーゼ)は亜鉛が活性中心となっている。

VDによって調整されているカルシウムは、酵素合成の初期で必要なミネラルだろう。

感染症と闘うためには、これらの栄養素が必要だということだ。

 

しかし、高熱が続く場合は、過酸化水素を消去するグルタチオンペルオキシダーゼが合成されなくてはならない。この活性中心となるのが、セレンだ。

さらに、これら活性酸素を最終的に消去するのが、VC、VA、VEである。

 

 

 

 

 

自然免疫と獲得免疫についてメモ(新田剛先生のYouTube動画から)

www.youtube.com

(13:36~)はっきり線で分けて描いてないのは、自然免疫の中に獲得免疫が浮かんでるというか上に乗ってるっていうイメージ。

(26:26~)自然免疫の病原体関連分子パターン。

もう一つ、自然免疫のダメージ関連分子パターン。これの典型的なものが、痛風

 

 

 

 

www.youtube.com

(5:49~)自然リンパ球と呼ばれる細胞や免疫反応の働きを抑える制御性T細胞(Treg)。この二つは最近分かってきた細胞。

(6:20~)γδT細胞=自然免疫的にはたらく細胞、分かっていないことが多い細胞。

(7:00~)Treg=25年位前に明らかになってきた細胞。

(7:29~)自然リンパ球=10年位前に発見されて2012年位に命名された。

 

 

 

 

 

 

 

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とアセトアミノフェン(リンクによるメモ)

ステロイド性抗炎症薬(ひステロイドせいこうえんしょうやく、英語: Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug) [2][1]は、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称。頭文字を連ねて短縮表記されることも多く、NSAID(英語発音: [ˌen.es.eɪ.aɪ.ˈdiː] エヌ・エス・エイ・アイ・ディー[4])[注 2][5])や(複数種類あるのでsつきで)NSAIDs(エヌセッズ、エヌセイズ[6])と表記し、かっこ内の発音をされる。疼痛、発熱、炎症の治療に用いられる。代表的なNSAIDにはアセチルサリチル酸(商品名アスピリンバファリン)、イブプロフェン(商標名ブルフェン)、ロキソプロフェン(商品名ロキソニン)、ジクロフェナク(商品名ボルタレン)がある。また外用薬もある。

 

(略)

 

名称の由来

単語「非ステロイド」とは、糖質コルチコイド(グルココルチコイド)でないことを意味する。グルココルチコイドは抗炎症薬の主要なグループを構成するが、1950年代にはグルココルチコイドに由来する医原病と思われる症例が多数報告されるようになった(詳細についてはステロイド系抗炎症薬の副作用)。このため、1960年代に開発された新しい抗炎症薬の一群がグルココルチコイド系ではないことを知らせることが重要とされ、 NSAID という概念が一般化されるに至った経緯がある。

 

作用機序

ステロイド性抗炎症薬には選択性のものと非選択性のものがある。

最も一般的な非ステロイド性抗炎症薬の多くは、すべてのシクロオキシゲナーゼ(COX-1、COX-2)活性を可逆的に競合阻害する。アラキドン酸が結合するシクロオキシゲナーゼの疎水性チャネルを封鎖することでアラキドン酸が酵素活性部位に結合することを防いでいる。例外は、アスピリンで、これはシクロオキシゲナーゼ(COX-1,2両方とも)をアセチル化することで阻害する。これは不可逆的な反応であり、核を持たず蛋白合成ができない血小板にとっては不可逆的な作用をもつ。この特性からアスピリンは冠動脈疾患や脳梗塞の既往のある者に対して投与される抗血小板薬として用いられる。アスピリンの抗血小板作用は退薬後、血小板の寿命である約10日間持続する。シクロオキシゲナーゼ1(COX-1)は恒常的に発現しており、胃壁の防御作用に関与している。胃壁が自ら分泌する、胃液に含まれる胃酸(塩酸)により溶かされないよう防ぐのに必要である。COX-1が阻害されると、胃潰瘍や消化管出血の原因となる。

一方COX-2は炎症時に誘導されるプロスタグランジン合成酵素であり、NSAIDsの抗炎症作用はCOX-2阻害に基づくと近年考えられ、COX-2を選択的に阻害する新しいNSAIDsが創製されている。特に酸性NSAIDsは強いシクロオキシゲナーゼ活性阻害を有しており、COXによりアラキドン酸からプロスタグランジンが合成されるのを阻害する(最近では、COX-1、COX-2共に抑制された場合のみ消化管障害が発現し、いずれかが阻害されずに残っている場合には消化管障害は起きにくいことがCOX-1あるいはCOX-2、もしくはCOX-1とCOX-2を遺伝的に欠損させたマウスの実験から明らかとなっている)。

プロスタグランジンには、炎症、発熱作用があるため結果的にNSAIDsは抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を持つ。パラセタモール(アセトアミノフェンもシクロオキシゲナーゼ活性阻害作用を持つため、NSAIDsに分類されることがあるが、明らかな抗炎症作用は持たず、真の意味でのNSAIDsではない。近年まではっきり解明されていなかったがこの抗炎症作用の欠落は、アセトアミノフェンのシクロオキシゲナーゼ阻害作用が中枢神経系に主に作用するからと考えられている。この中枢神経に存在するシクロオキシゲナーゼは、COX-3と呼ばれる。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E6%80%A7%E6%8A%97%E7%82%8E%E7%97%87%E8%96%AC

 

前述の通り、アセトアミノフェンには鎮痛・解熱作用がありますが、抗炎症作用はほとんどありません。現在考えられている機序は、中枢性COX阻害に加えてカンナビノイド受容体やセロトニンを介した下行性抑制系の賦活化です。痛みのシグナルは末梢神経終末→脊髄→脳へと上行性に伝達されますが、逆に中枢側である脳から脊髄へと下行性に痛みを抑制するシグナルを伝達する経路があります。この経路のことを下行性抑制系と呼びます。アセトアミノフェンはこの下行性抑制系を活性化することで鎮痛効果をもたらすと推定されています。アセトアミノフェンにはNSAIDsのような胃腸障害や腎障害の副作用はありません。しかし、アセトアミノフェンの副作用として肝障害には注意が必要です。https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_keynsaids.html

 

体の中では、脳の視床下部の体温中枢が体温の調節をつかさどっています。アセトアミノフェンはこの体温中枢に作用し、抹消血管を広げることで体外へ熱を逃し、体温を下げる働きをします。

また、体の中で発熱や痛みを引き起こす原因物質に「プロスタグランジン(PG)」があります。アセトアミノフェンは、脳の中枢系でプロスタグランジンをつくり出す酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することで、熱や痛みを抑えると考えられています。

こうした作用により、アセトアミノフェンはかぜやインフルエンザなどによる発熱や悪寒に、また、頭痛、生理痛、関節痛、神経痛、歯痛など様々な痛みの緩和に使用されます。

(略)

アセトアミノフェンが脳の中枢系に作用するのに対し、NSAIDsは末梢に作用し、局所でシクロオキシゲナーゼを阻害することでプロスタグランジンの産生を抑制し、解熱や鎮痛、抗炎症作用を発揮します。NSAIDsは炎症を抑える作用をもつため、例えばテニス肘や運動による膝の痛みなど、外傷性の炎症による痛みもしっかり抑えてくれます。

一方、アセトアミノフェンには熱を下げたり痛みを緩和したりする作用はありますが、炎症を抑える抗炎症作用はほとんどありません。アセトアミノフェンがNSAIDsに分類されていないのはこのためです。また、鎮痛効果もNSAIDsと比べるとやや穏やかです。

NSAIDsで起こりやすい副作用として、消化性潰瘍などの胃腸障害が知られています。これは、シクロオキシゲナーゼを阻害することで胃や十二指腸の粘膜を守るプロスタグランジンの働きも抑制してしまうためです。

これに対し、アセトアミノフェンは胃腸への影響が少なく、胃腸障害が起こりにくいことも特徴の1つです。NSAIDsを使用して起こる腎障害なども少なく、服用後に眠気を催すこともありません。ただし、多量の使用により肝臓に障害を引き起こすことがあるため、肝障害がある人は注意が必要です。

NSAIDsを小児のインフルエンザや水痘(みずぼうそう)などの解熱に使用すると、インフルエンザ脳症を引き起こすリスクが高まる恐れがあるため、NSAIDsは15歳未満の子どもには使用できません。

一方、アセトアミノフェンは脳症のリスクがなく、子どもにも安全に使うことができます。

そのため、小さな子どもの解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンが第一選択薬となっています。また、体の機能の低下した高齢者に対しても安心して使える成分です。(https://brand.taisho.co.jp/contents/naron/551/

 

 

 

 

 

 


 

アレルギーではなくロイコトリエン異常産生(リンクによるメモ)

 

私はこんなことを考えていた。リウマチではなくリウマチ様症状では?と。
すると、アラキドン酸カスケードに関連して下のように書かれているサイトを見つけた。

 

喘息患者の中にはNSAIDsの内服によって喘息発作が誘発される患者さんがいます。成人喘息患者の約10%にこのような症状があると報告されており、以前はアスピリン喘息と呼ばれていました。アスピリン以外のNSAIDsでも症状が誘発されることから、現在ではNSAIDs過敏症という名称が好まれています。NSAIDs過敏症には、大きく喘息型と蕁麻疹型があります。いずれの症状もNSAIDs服用後30分から数時間以内に発症します。NSAIDs過敏症はアレルギーではなく、アラキドン酸カスケードのリポキシゲナーゼ経路活性化によるロイコトリエン異常産生によるものと考えられています。COX-1阻害作用によって症状が誘発されるため、多くの患者さんではCoxibsやアセトアミノフェンは安全に使用できます。https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_keynsaids.html