風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

塗り薬ならそれほど副作用はないかと思っていたら、とんでもなかった(アトピーとの闘い最終章)

昨年はステロイド外用薬の副作用で悩まされた一年であった。

まだ完璧ではないので油断はできないが、体内がアルカリに傾いて痩せていってたのが体重も少しずつ増え、皮膚が形成されて組織液が吹き出る状態からは脱することができたのではないかと思われる。

 

娘がかかっていた皮膚科医は、ステロイド薬は表皮が形成されていても容易に細胞内に浸透していく、が、タクロリムス(プロトピック)軟膏は表皮が綺麗な場合は薬剤が中に浸透しにくい、と言っていたという。

これは、副腎皮質ホルモンがコレステロールから合成されるものであるから、そのアナログとして造られたステロイド薬も細胞膜に親和性が高いので容易に皮膚から体内へと浸透するということだろうと思われる。

 

塗り薬だから体内にはあまり影響を与えないだろうと考えていると大変な目に遭うということだ。

むしろ、内服のステロイド薬を飲んでいた後より、接触性皮膚炎の副作用は大きかったと言える。接触性皮膚炎を起こしたことで、化粧品や保湿剤、アロマトリートメントで使用する植物油にまで注意が必要になった。

 

タクロリムス軟膏については、日本皮膚科学会から「一般市民の皆様へ」という内容で以下のようなメッセージが出されている。これは、2003年のものである。

成人用0.1%が承認された時のデータですが,紫外線照射で100%皮膚ガンが起こる色素を持たないアルビノマウスという特殊なマウスで実験してみたところ,オスのマウスに限って皮膚ガンが起こる期間が若干短くなるというデータが出ましたが,タクロリムスを含まないワセリン基剤のみでも同じ程度に短くなるというデータが出ました.この結果より,タクロリムス自体に皮膚ガンの発生する実際的な影響ははっきりと確認されたわけではないと考えられています.但し,念のため日光浴,海水浴,日焼けサロンなどの状況では使用しないような注意がされています.また,約10年前から,タクロリムス軟膏の開発に協力下さった患者さんの調査及び市販後の調査ではリンパ腫,皮膚ガンの報告は国内にはなく,皮膚ガンの多い外国でも,少なくとも数十万人使用されている中で,この薬との関連が完全に否定されない3例のリンパ腫及び3例の皮膚ガンの報告はありますが,タクロリムス軟膏とのはっきりとした関連が確認されたものはありません.この薬は,世界中で既に少なくとも数十万の患者さんが使用されていることより,それぞれの3例の発生は自然に発症する確率を越えるものではないと考えられます.https://www.dermatol.or.jp/modules/publicnews/index.php?content_id=2

 

このメッセージは、マウス実験でリンパ腫の増加がみられたということと薬の使用中にリンパ腫と皮膚癌がみられたという報告を受けて出されたもののようで、上記の引用は、「Q7 タクロリムス軟膏を外用していた場合に,使用部位に皮膚ガンが発生しやすくなることはないでしょうか?」という問いに対する答として記されている。

ここでは、タクロリムスとワセリン基剤のみとの比較実験で結論を導き出しているようなのだが、ワセリンのような鉱物油は体内に浸透することはなく紫外線等によって皮膚表面で化学反応を起こすと考えられるから、「ワセリン基剤のみでも同じ程度に短くなるというデータ」がタクロリムス軟膏の安全性を保証することにはならないだろうと私は考える。基剤としてワセリンを含有しているのであれば尚のこと長期使用の注意を促す必要はあるだろう。

 

タクロリムス軟膏はステロイド外用薬に比べて体内へは浸透しにくいということだが、皮膚表面が形成されておらず傷がある状態では浸透するのである。だから、血中濃度が上昇しリンパ腫が生じたということも考えられるだろうし、皮膚表面に留まりやすいために皮膚癌が生じやすいとも言えるだろうと思える。

 

そういうことで、ステロイドステロイドに限らず薬を使わないで治す方向を目指している。