以下の内容は私の思考過程のものであり間違いが含まれているかも知れません。
2002年第一刷発行の古い栄養素の本なのだが、ビオチンについて以下のように書いてある。
皮膚障害の治療に効果があることは、古くから知られてきました。現在では、アトピー性皮膚炎の治療に、ビオチンが用いられています。(吉川敏一『ビタミン・ミネラル早わかり』より抜粋)
2012年初版発行の新しい栄養学の本には、次のように記されている。
生卵白に含まれる糖たんぱく質のアビジンはビオチンと結合しやすく、ビオチンーアビジン結合体となり、ビオチンの腸管吸収を阻害する。そのため、長期間にわたって生の卵白を多量に摂取した場合、ビオチン不足になる可能性がある。このことを卵白障害という。
アビジンは加熱すると活性を失うため、卵の加熱調理で卵白障害は予防することができる。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』より抜粋)
また、以下のサイトには、
https://kanri.nkdesk.com/hifuka/eiyou16.php
アトピー性皮膚炎患者の脂肪酸組成がビオチン投与で改善されたことから、血液中のビオチン濃度が正常の半分程度といわれるアトピー性皮膚炎の患者における皮膚の落屑や油分の不足にこの辺の機序も絡んでいるのかもしれない。
(略)
次に、T細胞、B細胞などの免疫系の是正(主に細胞性免疫?)とヒスチジンなどのアミノ酸の尿中排泄の変動がある。
免疫系の細胞は元を辿ればアミノ酸なので、それを調整することが過剰な免疫を抑えることと関係があるのかもしれない。
ビオチンのヒスチジン排泄作用についても、実験データはあるもののその機序は明らかではないが、これが今現在アトピー性皮膚炎治療とビオチンを結びつける上での一番の作用であるのは言うまでもない。(抜粋)
ヒスタミンは痒みの伝達物質だとされているが、リノール酸がアラキドン酸へと変換されていっても痒みを引き起こす生理活性物質(プロスタグランジンE2、ロイコトリエン4)が生成される。
ここで、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB6、ビタミンC、ナイアシン、そしてビオチンが働くと、リノール酸は逆にアレルギーを抑制する生理活性物質(プロスタグランジンE1)へと変換されていくようである(柏崎良子=著『栄養医学ガイドブック』)。
作用機序は明らかになっていないようだが、ヒスチジン排出にもビオチンは一役買っているようだ。
こういったところからビオチンがアトピー性皮膚炎に良いと考えられていると思われる。
ビオチンは、黒糖、きな粉、アーモンド、ひまわりの種、きのこ類、焼きのり、カットわかめ、いわしの缶詰、卵黄などに多く含まれている。
レバー類にも多いが、あまり多すぎる物は要注意だと私は考えている。