クローブは感染症抑止剤として、ペストのような伝染病の予防に使用されてきた長い歴史があります。(略)
これが製薬産業で大規模に使われていることは、これが感染抑止特性、殺菌特性をもつ事実を裏書きするものです。
(中略)
呼吸器の各種の疾患を好転させる力がクローブ油にはあり、これが肺結核、喘息、気管支炎に以前から使用されています。この精油は感染症がはやっているときに、あたりの空気を消毒するうえでとても価値があります。これは非常に強力な殺菌剤で、冬の間、これをひんぱんに蒸散させますと、細菌にたいする抵抗力を強めることができます。(ワンダー・セラー著『アロマテラピーのための84の精油』より)
クローブ精油に高含有されているフェノール類(オイゲノール)に抗ウイルス、抗菌、免疫刺激作用があるようである。
しかしまた、このオイゲノールの皮膚刺激は強いので原液に触れないよう注意が必要。
お湯で希釈したり、エタノールを加えて、様々な芳香器で燻らせてみる。
井上重治 問題はインフルエンザウイルスです。これに関する論文は、私が調べた限りでは5本しかなく、その中から有効性があるとされる具体的な精油名をあげると、ドクダミとシナモンバーク、ラベンサラ、ティートリー、ユーカリラジアタ、Cynanchumなどの精油でした。ヘルペスの場合は自信をもって精油が有効であるといえますが、インフルエンザの場合は論文が少ないのです。インフルエンザウイルスにもエンベロープがありますから、作用機構はヘルペスウイルスに似ているのではないかと思います。細菌の細胞膜にあたるのがウイルスのエンベロープです。脂質二重層で、基本的には細胞と同じ構造です。従来の季節型と新型インフルエンザウイルスはエンベロープも同じと考えられますので、新型ウイルスにも精油は効く可能性が高いです。
(中略)
井上 …。ところがウイルスに対しては4000倍も活性が強いので、精油の蒸気である程度影響させることが可能だと思います。なぜバクテリアに比べて活性が高いかといいますと、細菌の場合は細胞壁が邪魔をして標的の細胞膜まで到達しにくいのですが、ウイルスには邪魔するものがなくて、むき出しのエンベロープに精油の分子が容易に付着できるためです。
(中略)
林 ウイルスは強敵という感じがしていましたが、意外なお話ですね。
井上 そういう意味ではウイルスは特に精油の香りに対して一番無防備ですよ。…。
林 精油はウイルスに対して活性が強いということでしたが、マスクに精油を1滴つけておくような使い方もよいのでしょうか。
井上 そうですね。…。(中略)
井上 新型インフルエンザウイルスの特徴は、従来の季節型と異なって肺の細胞での増殖が盛んなことです。増殖したウイルスに対してはアロマはあまり効かないと思います。…。新型の症状は発熱ですが、発熱は生体防御のひとつです。体温を上げることによってウイルスの増殖を弱めることになりますから、ある意味では発熱させたほうがよいのです。ただし40℃以上では脳に影響が出ますので話は別ですが。
林 ウイルスが静かになるのは50℃くらいですか。
井上 もっと低いです。41〜42℃くらいですね。ただしウイルスを失活させるためには70℃が必要です。(井上重治・林眞一郎緊急対談「インフルエンザとアロマテラピー」2009年12月25日発行アロマ環境協会会報誌54より)