風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

『冬香水』(動画3回目)でふれた精油について

ラベンダー精油(Lavandula angustifolia)

酢酸リナリル(エステル類)、リナロール(モノテルペンアルコール類)を多く含有する。トップノート(高)(ものによってはミドルノートと記載しているものもある)。

 

オレンジ・スイート精油Citrus sinensis)

d-リモネン(モノテルペン炭化水素)等。トップノート(中)。

 

ティートゥリー精油(Melaleuca alternifolia)

γーテルピネン、αーテルピネン等のモノテルペン炭化水素、テルピネンー4ーol等のモノテルペンアルコール類、1,8シネオール(酸化物)を含有する。トップノート(低)(ものによってはミドルノートと記載しているものもある)。

 

「ステロイドホルモンとステロイド薬について(アトピーとの闘い最終章)」でも記したが、ステロイド外用薬の使用によって接触性皮膚炎等を起こしている場合はステロイドによる交差反応が起こっていると考えられるため、エステル類、ケトン類、テルペン類を含有するアロマオイルの使用には注意が必要だと思われる。

 

 

以下、シナモン精油のインフルエンザウイルスへの作用について二つを引用。

天然植物生薬によるインフルエンザウイルス生育阻害実験ーその2
寺澤、落合らは、さらにもうひとつの生薬で同様にウイルス生育阻害効果を検証し報告しています。今度は桂皮に関して同じ系での実験を行ったのです。その結果、桂皮に含まれるcinnamaldehyde(CA)がインフルエンザウイルスの生育を特異的に阻害することを発見しました。濃度にして40マイクロモーラーという比較的低濃度でその生育を29.7%まで抑制することがわかりました。CAの分子量は132ですから1ml中に5.3μgのCAが溶解している状態です。しかも感染した細胞を3時間後に暴露したときが最も生育を阻害することがわかりました。この研究により桂皮成分の中で精油が効果を示していることが明らかとなりました。多くの漢方処方でこの桂皮が配合されており、感染症に効能を示すものも少なくありませんが、おそらく流感に対する効能はこのCAが担っていることが考えられます。ただし、シナモンオイルは直接肌に使用すると刺激が強いので注意が必要です。(山本芳邦「精油の由来とその行方14」2009年発行アロマ環境協会会報誌53より抜粋)

 

井上重治 問題はインフルエンザウイルスです。これに関する論文は、私が調べた限りでは5本しかなく、その中から有効性があるとされる具体的な精油名をあげると、ドクダミとシナモンバーク(=桂皮)、ラベンサラ、ティートリー、ユーカリラジアタ、Cynanchumなどの精油でした。(略)インフルエンザウイルスにもエンベロープがありますから、作用機構はヘルペスウイルスに似ているのではないかと思います。細菌の細胞膜にあたるのがウイルスのエンベロープです。脂質二重層で、基本的には細胞と同じ構造です。従来の季節型と新型インフルエンザウイルスはエンベロープも同じと考えられますので、新型ウイルスにも精油は効く可能性が高いです。
(中略)
井上 …。ところがウイルスに対しては4000倍も活性が強いので、精油の蒸気である程度影響させることが可能だと思います。なぜバクテリアに比べて活性が高いかといいますと、細菌の場合は細胞壁が邪魔をして標的の細胞膜まで到達しにくいのですが、ウイルスには邪魔するものがなくて、むき出しのエンベロープ精油の分子が容易に付着できるためです。
(中略)
林  ウイルスは強敵という感じがしていましたが、意外なお話ですね。
井上 そういう意味ではウイルスは特に精油の香りに対して一番無防備ですよ。
(中略)
井上 新型インフルエンザウイルスの特徴は、従来の季節型と異なって肺の細胞での増殖が盛んなことです。増殖したウイルスに対してはアロマはあまり効かないと思います。(井上重治・林眞一郎緊急対談「インフルエンザとアロマテラピー」2009年発行アロマ環境協会会報誌54より抜粋)

 

ここでは、「肺の細胞で増殖したウイルスに対してはアロマはあまり効かないと思います」と言われているので、ウイルスが人体に入る前に対処しなくては効果が期待できないと考えられる。抗ウイルス作用や殺ウイルス作用を持つアロマオイル(精油)を環境中に噴霧するのがやはり良いように思う。

 

 

最新免疫学から分かってきた新型コロナウイルスの正体―宮坂昌之・大阪大学名誉教授

現在分かっていることは、このコロナウイルス反応性のT細胞は別の種類のコロナウイルスに反応してできたようで、こういう免疫を交差免疫と言います。Aというウイルスに感染したらBというウイルスに対して交差免疫ができた、という言い方をします。どうもそういうことであるらしい。現在、風邪を起こす4種類のコロナウイルスが知られていますが、そういったウイルスにかかると新型ウイルスに対する交差免疫ができるのではないかと考えられています。

(略)

では我々はどうしたらいいのでしょうか。コロナウイルスを避けるために必要な基本的なことをしっかりした上で、体の免疫力を維持することが大事です。そのために最も大事なことは生活リズムを崩さないこと。体内時計がうまく刻むようになると、食欲が出て、夜もよく眠れ、同時に免疫力も維持できます。もう1つ、体を動かすことも非常に大事です。体を動かすと骨や筋肉を使います。実はこの免疫力の維持に大事な免疫調整物質は筋肉と骨からたくさん作られています。しかも運動をすることによってそれら多く作られることが分かっています。(抜粋)

https://scienceportal.jst.go.jp/explore/highlight/20201225_e01/

 

 

 アロマオイルについての記載はないが、知人の研究者が送ってくれた資料を以下に再掲しておく(写真をクリックして拡大して見ることができます)。

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Applied and Environmental Microbiology, 81: 1616-1621 (2015)より引用

この図を見ると、紫外線では、外側は保たれたままでRNAが破壊されているように思える。マスクなどを繰り返し使用する場合に、直射日光下で干すというのも出来ることの一つかもしれない。

エタノールは、逆に、ウイルスのglycoproteinsを破壊して人体への侵入を妨げるようである。

 

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