風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

どうしてナイアシンとビタミンCを摂ると銅値が下がりヒスタミン値が上がるのか?

ヒスタミンは銅の過剰によって発生する。そこで銅の過剰を抑えるために、ビタミンCとナイアシン(B3)を投与したところ、ヒスタミンを正常範囲内におさめることができた。(生田哲=著『心の病は食事で治す』より)

このことをもう一度考えてみよう。

統合失調症には、ドーパミン過剰とドーパミンが生成されない二つのタイプがあるようだ。その一つが、低ヒスタミンで銅過剰である。

以下に、図を写真で掲載する。 

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ドーパミンからノルアドレナリンを生成する過程の最初と最後でビタミンCが必要とされている。また、ナイアシンは中間部分の二箇所で必要とする。このナイアシンとビタミンCが働くところでは銅が一緒に使われているのである。

さて、ドーパからはドーパミンへの変換経路と、メラニン合成経路とがあるようだ。
メラニン合成の経路では、タイプ3銅を含むタンパク質酵素チロシナーゼが関わっている。タイプ3銅は、「複核構造であり、どちらの銅にも3つのヒスチジンが配位している」ウィキペディアに記されている。つまりメラニン色素を合成するためには、ヒスチジンと銅を多く使うということである。

メラニンウィキペディア

メラニンのルーツは、アミノ酸の一つであるチロシンである。このチロシンチロシナーゼという酸化酵素が働き、ドーパという化合物に変わる。更にチロシナーゼはドーパにも働きかけ、ドーパキノンという化合物に変化させる。ドーパキノンは化学的反応性が高いので、酵素の力を借りる事なく次々と反応していく。ドーパクロム、インドールキノンへと変化し、最終的には酸化、重合し、黒褐色の真性メラニンとなるが、構造は大変複雑であり、表記は難しい。一方、ドーパキノンとシステインが反応することで、システィニルドーパを経て亜メラニンが合成される。メラニンは水や全ての有機溶媒に不溶で、特に亜メラニンは極めて安定である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%83%8B%E3%83%B3

チロシナーゼは、ドーパミン生成の過程でL-チロシンからL-ドーパに変換するところで働いている。メラニン色素を合成する過程とドーパミンを合成する過程において一部分が共有されているのである。

 

ドーパからドーパミンへの変換経路ではビタミンB6が関わっている。


ドーパミンからノルアドレナリンへの変換では、ドーパミンーβーヒドロキシラーゼとビタミンCが関わっている。

ドーパミンーβーヒドロキシラーゼはタイプ2銅を含むタンパク質酵素である。タイプ2銅は、ヒスチジンチロシンといった窒素や酸素を含む配位子が正方平面型、または正方両錐型で配位した構造をとっている」(ウィキペディアと記されている。

つまり、ドーパミンーβーヒドロキシラーゼの場合は、「ヒスチジンチロシン」なので、必ずしもヒスチジンを必要としていないと言えるのではないだろうか?

 

チロシンナイアシンを摂取してドーパが出来、そこからメラニン色素が造られた場合は、そこで銅が使われる。


ビタミンB6が関与してドーパからドーパミンへと変換された場合は、ビタミンCを摂取してノルアドレナリンへと変換する。ここで銅を使う。

 

統合失調症の一つのタイプは、体内銅が多く、ドーパミンが過剰に造られることが問題であるようなので、ナイアシンとビタミンCを一緒に摂取してドーパミンノルアドレナリンに変換させることで解決しようということではないだろうか?

ドーパミンーβーヒドロキシラーゼはヒスチジンを配位しない場合のあるタイプ2銅を含むため、体内のヒスチジンヒスタミンに変換されてヒスタミン値が上がると考えられる。

 

中井久夫=著『こんなとき私はどうしてきたか』の中に、「回復期の初期に血圧をみてみますと、突然上がって、何日か何十日か後に突然下がります」と記されている。私はこれを読んで、薬が効いて、ドーパミンノルアドレナリンに変換されるために血圧が上がるのではないかと考えた。「回復初期はからだに注目」というこの本の続きのところで中井氏は、抗精神病薬がからだのなかで、いわば “余って”くるのかもしれません。あわてずにちゃんと身体診察をして、そして薬はむしろ減量ですね。少し遅れ気味の減量かな」と語っておられる。

 

また、同じ『こんなとき私はどうしてきたか』で、以下のようにも語っている。

 私がみていた患者さんが、あるとき卒倒しましてね。…。ちなみに何かが起こったら、「その前にきみは何をした?」と聞きます。「どうしてこうなった?」と原因を聞いたってわかりませんからね。私たちだって、たとえばなぜ今日下痢をしているのかわかりませんから、「なんで?」というふうに理由を考えないで、「その前に何を食べたか」を考えます。
 彼は「禁煙した」と言いました。ニコチンは薬の作用をうんと減らします。ときには三分の一に減らすそうです。ニコチンを急に抜いたら三倍になったのですね。病棟が禁煙になったら薬の量が減らせるでしょう。そういうメリットも患者に話すのがよいと思います。翌日から減らすのでなくて、だんだんに減らす(リバウンドを恐れますから)。何か月か何年か経つと、きっと少量の薬でよいようになっているでしょう。(中井久夫=著『こんなとき私はどうしてきたか』(医学書院)より)

 


たばこのニコチンとナイアシンは別物だと書いてあるものも見かけるのだが、アルカロイドであるニコチンの酸化されたものがニコチン酸であると記したものもある。ナイアシンとは、動物性食品に含まれるニコチンアミドと植物性食品に含まれるニコチン酸を総称したものだということだから、たばこのニコチンとは全く関係ないとは言い難いように思われる。

統合失調症は、体内の銅が高くヒスタミン値が低い場合と、逆の、体内銅が低くヒスタミン値が高い場合に分かれるということだから、上の引用を見ても、どちらかのタイプでニコチン(ナイアシン)が影響していると考えられる。

 

娘の場合は、やはり体内の銅が少ないのではないかと思う。だからメラニン色素の合成がうまく行われず日に焼けると大変なことになる。また、ノルアドレナリンの合成も少ないから血圧も低いのではないだろうか。

エラスチン架橋形成、コラーゲン形成作用を持つ銅要求酵素リシルオキシターゼの機能障害による異常症として「皮膚異常」が記されている(『しっかり学べる!栄養学』)。

こういった記述から見ても、アトピー性皮膚炎というのは、アレルギー反応であると同時に、先天性の銅欠乏症が根底にあるように思えてならない。

銅不足で、ヒスチジンを使う銅タンパク質が造れないためにヒスチジンヒスタミンに変換されてアレルギー反応を起こす。また、体内亜鉛が多いと銅を排出してしまってますます銅不足となりやすい。亜鉛はアレルギー反応にも関わってアレルギーを引き起こす。これら全てが銅欠乏に関わっているように思われる。

 

meromeropy77.hatenablog.comヒスタミンは「アミノ酸の一種であるヒスチジンから生成」される。この時、ヒスチジン脱炭酸酵素が働く。ウィキペディアの「ヒスタミン」の項には、このヒスチジン脱炭酸酵素補酵素として「ビタミンB6の活性型であるピリドキサールリン酸がある」と記されている。
(略)
上のサイトでは、ヒスタミンを分解する酵素を造る栄養素として、ビタミンB6、ビタミンC、亜鉛、銅、マグネシウムが上げられているのだが、ヒスチジンヒスタミンに変換する際にも亜鉛は関わっているのではないかと私は考えている。
B6がヒスタミンを分解するのだからB6が多い食品は良いではないかと思えるのだが、これはアルコールの分解が二段階で無毒化される場合と同じで、途中で栄養素が足りなくなれば、ヒスタミンのまま放置されてヒスタミン不耐性の症状が出るということになるのではないかと思う。