メチオニンに対してシスチン含有の多い食物は、穀物や野菜、大豆などの植物性のものだ。
しかし例外もある。 例えば、穀物の中では、小麦粉で出来ているものはメチオニンよりシスチンを多く含有するが、米、飯、餅ではメチオニンの方が多い。
雑穀は大方メチオニンの方が多いが、見落としがあるかも知れない。
蕎麦は、メチオニンよりシスチンを多く含有する。
オートミールは、中村丁次=監修『栄養成分バイブル』の「シスチン」の項目でシスチン含有の多い食物として記載されているが、490mgと高含有であり、しかもメチオニンとの割合でも1:1,8とシスチンの方が高い。札幌時代、オートミール粥を時折作っていたのだが、娘はこれを嫌っていた。
食パンでは、メチオニン対シスチン=1:1,5で、シスチン含有は100g当たり200mg 。
乾燥パスタの茹でたものでは、メチオニン対シスチン=1:1,2で、シスチン含有は120mg である。
娘はご飯も嫌いでパンや麺類が好みだが、オートミールとの違いは、T細胞を活性化するアルギニンや抗体を造るリジン含有の少なさにあるのではないかと思う。
『栄養成分バイブル』でシスチンの多い食物として記載されている「牛肉、羊肉、牛乳、さけ」などはシスチン含有が多くても、それに上回るメチオニンを含有しているので、働きが違ってくるのではないかと思われる。
また、この中の牛肉や羊肉は亜鉛含有が高いので、メタロチオネインが作動するとも考えられる。
『栄養成分バイブル』に「シスチンには、顕著な解毒作用があります、体内で代謝されるとイオウを出し、ほかの物質と反応して解毒作用をするのです」と記されているが、この「ほかの物質」が亜鉛であり、亜鉛と反応してメタロチオネインとして解毒作用をするということだと思われる。
『亜鉛の機能と健康』には「亜鉛、銅、マンガンその他の金属元素もメタロチオネインの合成を促進するが、」(p56)と記されているが、『栄養成分バイブル』には、シスチンは「銅などの有毒金属や、喫煙、飲酒などによって生じるフリーラジカル(活性酸素。細胞を傷つけ、病気をひきおこす)から、からだを守ります」とも記されている。
もう一つは、ヒスチジンの多い物とシスチンの多い物を摂ることで、銅がタイプ1銅として消費されてしまうのではないかという問題がある。
今のところ私には、銅がメタロチオネインとして働くからなのか、あるいは亜鉛とメタロチオネインとによって銅が有毒金属として排出されてしまうのかは解っていない。
また、タイプ1銅として働かされて真皮を造るコラーゲンやエラスチン形成に働けなくなるのか、あるいは真皮を日焼けから守るメラニンの合成に働けなくなるのかも、はっきりしていない。
しかし、これまでの娘の皮膚の状態を見てきて、肌色を元に戻すためにシスチンの多い物が必要であることと、摂り過ぎれば解毒どころか皮膚そのものを破壊し始めるということだけははっきりしたように思う。
「メラニン色素合成」でも書いたが、「チロシンからメラニンを合成する過程でシステインが存在すると、フェオメラニン(黄色メラニン)という悪性腫が合成される」という。つまりシステインが存在すると、真皮を守る黒色のユーメラニン(真性メラニン)への合成でなく、フェオメラニン(黄色メラニン)を合成するということのようである。
ここでリンクした『あたらしい皮膚科学:第2版』には、「メラニンの最も重要な役割は紫外線防御であり,紫外線による日光障害や悪性腫瘍の発生を防ぐ.よって,肌の黒い人種であるほど,紫外線による皮膚癌の発生は少ない」と記されている。
皮膚がんは白人での発症率が高いと聞くが、シスチンよりメチオニン含有の高い米を主食としている地域の人々より小麦を主食としている人々の方が肌の色が白いというのにも肯けるように思われる。もちろん紫外線の強さの違いということが先にあるだろうが・・。
それにしても、この『あたらしい皮膚科学:第2版』、欲しい!
(注:シスチンとシステインの違いについてはウィキペディア「シスチン」を参照して下さい。)
シスチンのニキビとの関連は、パントテン酸食材とコレステロールとの関係の中で再度取り上げたいと思う。そこで、シスチン含有の高い納豆についても取り上げたいと思う。納豆などの大豆類を常食する東北人も色白ではないか???
しかし、一方で以下のような研究発表も出ている。