風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

過酸化水素によって続く高熱は・・(グルタチオンペルオキシダーゼの抗酸化能はセレンに依存)

「「発熱」には亜鉛だけでなく銅も関わっている - 風と、光と・・・で、リンクした研究内容から、ウイルスと闘う際に体が熱を上げる働きに過酸化水素が関与しているということを書いた。そこで、高熱が続いて重症化する場合は、この過酸化水素を消去することを考えれば良いのではないかと考えた。

グルタチオンペルオキシダーゼ(glutathione peroxidase)は、主な生物学的役割が酸化的損傷からの有機体の保護であるペルオキシダーゼ活性を有する酵素ファミリーの一般名である。グルタチオンペルオキシダーゼの生化学的機能は、脂質ヒドロペルオキシドの対応するアルコールへの還元と遊離過酸化水素の水への還元である。(略)

グルタチオンペルオキシダーゼ1(GPx1)は最も豊富なアイソザイムで、ほとんど全ての哺乳類組織の細胞質で見られ、過酸化水素を基質とする。

(略)

グルタチオンペルオキシダーゼの抗酸化能はセレンに強く依存している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%81%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BC

赤字表記は、管理人メロメロピーによる

溝口徹=著『「脳の栄養不足」が老化を早める!』にも、過酸化水素の消去にグルタチオンペルオキシダーゼが上げられている。しかし過酸化水素が消去された後、「その一部は細胞内の銅や鉄と反応して、ヒドロキシラジカルという活性酸素に変わる。これは細胞を傷つける強力なパワーをもった活性酸素だ」とも記されている。

 

このことは以下の論文中にも記されている。

哺乳類細胞における銅の恒常性維持の分子機構 小椋康光(昭和薬科大学衛生化学研究室)

銅が+1および+2の酸化状態を生体内で行き来可能なことは,銅が必須元素として酵素の活性中心に要求されることと同時に,酵素などのタンパク質と結合していない遊離の銅イオンはFenton/Haber-Weiss反応を通じて,細胞傷害性の高いヒドロキシルラジカル(•OH)を生成する危険性を含んでいる。そのため細胞は厳密な銅の制御機構を有していると考えられ,実際に細胞内には遊離の銅はきわめて微量(10–18 M)しか存在し得ないことが示されている(1)。これは細胞内の遊離の亜鉛が通常10–12 M程度であることからも,かなり微量であることが理解できる。生体必須微量元素であるが,細胞傷害性も高い銅イオンをいかに細胞は制御しているかを,これまでに明らかとなってきたその分子機構について,本稿では解説したい。(略) 

これまでに細胞内への銅の取り込みを行うCTR(copper transporter)ファミリーと細胞外への銅の排泄を担う銅輸送性ATPaseファミリーが同定されている。(略)

ATP7Aの欠損症であるMenkes 病では消化管からの銅の吸収が機能しないため,全身性の銅欠乏症状すなわち銅酵素の活性低下を呈する。メラニン色素を生成するために必要なチロシナーゼの活性低下により蒼白な皮膚,コラーゲン形成に必要なリジルオキシダーゼの活性低下により皮膚の過伸展や壊血病症状の骨形成不全,カテコールアミンの生合成に必要なドーパミンβヒドロキシラーゼの活性低下により脳神経機能の低下,エネルギー産生に必要なチトクロームc オキシダーゼの活性低下により低体温などの全身の銅酵素の活性低下からさまざまな症状が出現する。(略)

Wilson病患者やWilson病のモデル動物の肝臓内において,蓄積している銅は主にメタロチオネイン(MT)と結合している(72–74)。すなわち,ATP7Bの変異によって過剰に蓄積した銅はMTに結合することによって毒性を発現しない状態で一時蓄積され,この時,MTは銅と同時に亜鉛を結合している。MTタンパク質の生合成限界を超えて銅が蓄積すると亜鉛をほとんど含まないMTとなる。亜鉛を含むMTはanti-oxidantとして防御的に作用するが,亜鉛を含まず銅のみを結合するMTは,さらなる銅の蓄積により,1価の銅を放出するためpro-oxidantとして働き,hydroxyl radicalsを発生させることが肝炎,肝がんの原因となると考えられている

 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh/69/2/69_136/_pdf

 

やはり亜鉛と銅の摂取割合を考えることが大事だと思われる。

meromeropy77.hatenablog.com亜鉛と銅、そして活性酸素について考える時、この記事(↑)に引用させていただいた論文へと繋がっていくように思われる。

 

さて、『「脳の栄養不足」が老化を早める!』には、ヒドロキシラジカルの消去酵素「グルタチオン」が上げられている。これを構成する栄養素としてアミノ酸パントテン酸ビタミンB2と記されている。

そしてもう一つヒドロキシラジカルの消去に、「ビタミンC、E、β-カロテン」とある。

活性酸素の最終的消去にビタミンEが関与しているということである。

ウイルス等と闘うための体温を上げる過酸化水素の生成の前後でビタミンKが必要なのではないかと私は考えているのだが、長引く高熱を抑えるために最終的な活性酸素消去にビタミンEが働くということを考えると、「ビタミンEがビタミンKの働きを阻害する」(https://ipidiw.co.jp/nutrition/vitamink.htmlと記されていたことにここでも肯けるように思える。

 

薬にしても食べ物にしても、服用するべき時、食べるべき時というのがあるのだと思う。

 

myrtus77.hatenablog.com