風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

レニン・アンギオテンシン系とアルドステロン(副腎皮質ホルモン)

この10年、解剖生理の本の同じ箇所を何度も何度も見ながら、その部分だけで完結してしまって、こっちとあっちが繋がっていなかったということが多々ある。

副腎皮質ホルモンも抗アレルギー作用の糖質コルチコイドにばかり目が行って電解質コルチコイドについて言及していても、アルドステロンがレニン・アンギオテンシン系に密接に関わっていることに結びついていなかった。

 

副腎皮質ホルモンはストレスとの関係で、ストレッサーが加わると副腎髄質からアドレナリンが分泌され、そこで次には副腎皮質から糖質コルチコイドが分泌されてストレスに対抗するという流れで頭に入っている。

このアドレナリン合成と副腎皮質ホルモン合成の経路の上部にドーパミンノルアドレナリンに変換する過程がある。この変換酵素として銅が必要になる。

 

中華料理の名前のようなレニン・アンギオテンシン系は、血圧の低下が腎臓で感知されるとレニンが分泌され、それによってアンギオテンシン1が変換酵素によって2に変えられて血圧を上げるという流れで理解していた。この変換酵素亜鉛含有酵素だということだが、最近になって、上がった血圧を下げて恒常性を保つ仕組みがあるということも知った。これにも亜鉛が関わっているだろう。

 

レニン・アンギオテンシン系には、遠位尿細管でのナトリウムイオンが低下するとレニンが分泌されるという、もう一つの働きがある。

ここでも、アンギオテンシンが1から2へと変換されて血圧を上げるが、さらにアンギオテンシン2が副腎皮質ホルモンのアルドステロン(電解質コルチコイド)の分泌を促進させ、Na+の再吸収とK+の排泄を促す。そしてこのアルドステロンが血管を収縮させて血圧を上げるという流れがあることが分かった。

 

ストレスがかかると、副腎皮質ホルモンの糖質コルチコイドが分泌されて血糖値を上げ、ストレスと闘うということだと思うが、同時にアドレナリンも分泌されていれば、血管を収縮させて血圧も上げているだろう。

 

また、血圧低下を感知したなら、レニンが分泌されアンギオテンシンの変換と共にアルドステロン(電解質コルチコイド)も刺激され、これも血管を収縮させて血圧を上げるだろう。

 

副腎皮質の合成という点に亜鉛がどう関わっているだろうか?と長らく考えていた。亜鉛酵素などのタンパク質の合成に関わる栄養素だから、それはどんなところにおいても関わっていると言えるだろうが、もっと納得のいく答が欲しかったのだが、副腎皮質ホルモンとレニン・アンギオテンシン系がアルドステロンによって繋がったために、少しはっきりしてきた気がする。

 

そして、亜鉛の過剰は銅の排泄へと繋がる。ストレスと亜鉛と銅との関連をもう少しきちんと捉えていきたいと思っている。