アルギニンについては、生田哲=著『心の病は食事で治す』の「免疫系のT細胞を増殖させ免疫系を強くする」に注目して、アルギニンの多い物を摂り過ぎるとⅣ型アレルギーを起こしやすいと考えてきたのだが、ここでもう一度、アルギニンについて検証してみたいと思う。
アルギニン(http://ipidiw.co.jp/nutrition/arginine.html)
働き・効果
一酸化窒素をつくり出す
毒物であるアンモニアを毒性のない尿酸に変換する
体内の免疫力を強くする
血流を改善する、血管の若返り、血管の健康を保つ
肌の血流量を増やし、血色を良くする
脳の血流量を高め、脳の活性化に役立つ
摂取・吸収
アレルギー、気管炎症、ぜんそく、肝硬変、精神分裂症、統合失調症、ヘルペスウイルスなどのウイルスに感染している場合、摂取は控える
不足・欠乏
むくみや肥満になる
ウィルスに侵されやすくなる
過剰摂取・副作用
腎臓がやられてしまい、生命に危険が及ぶ
子どもが過剰に摂取すると巨人症になる恐れがある
中村丁次=監修『栄養成分バイブル』には、アルギニンは「尿の合成に関与する」と書かれており、過剰症としては「肌が荒れ、皮膚が厚くなる。関節肥大や骨の奇形をおこすことがある」と記されている。
「働き・効果」の「一酸化窒素をつくり出す」と「毒物であるアンモニアを毒性のない尿酸に変換する」は同じ働きの流れの中にあるだろう。
ただし、「尿酸に変換する」は「尿素に変換する」の間違いではあるが。
たんぱく質は、分子中に窒素を平均16%含んでおり、生体を構成する上で重要な元素である窒素の供給源ともなっている。たんぱく質が体内でエネルギーとして利用される際、アミノ酸のアミノ基部分は肝臓で尿素となり、腎臓から排泄される。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』p89)
たんぱく質の分解で生じた各種アミノ酸の輸送・代謝は、おもに小腸、肝臓、筋肉(骨格筋)、腎臓で行われる。
(1)小腸はグルタミンとグルタミン酸を最も多く代謝する。吸収されたこれらのアミノ酸は、小腸でアラニンに変換されるとともに、エネルギー源として利用される。
(2)小腸で吸収されたアミノ酸は、門脈経由でまず肝臓に運ばれる。肝臓はアミノ酸代謝の重要な臓器で、分岐鎖アミノ酸以外のほとんどのアミノ酸を代謝する。その結果生じたアンモニアは尿素となり、腎臓に移行する。分岐鎖アミノ酸は肝臓を通過して全身に送られる。
(3)分岐鎖アミノ酸を代謝する主要な臓器は骨格筋である。骨格筋は、3種類の分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)と、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸の計6種類のアミノ酸の代謝により、アラニンやグルタミンが生成され、それぞれ肝臓や腎臓に送られる。
(4)腎臓では、肝臓から運ばれた尿素を、尿中にろ過して排泄する。また、グルタミンからアンモニアを生成し、尿中へ排泄するとともに、体液の水素イオン濃度の調節にも利用している。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』p85)
ここから、「過剰摂取・副作用」で記されている「腎臓がやられてしまい、生命に危険が及ぶ」が導き出される。
『亜鉛の機能と健康』には、次のように記されている。
自然発症高血圧ラットでは亜鉛欠乏が高血圧を増悪させることが知られている。フリーラジカルのひとつであるスーパーオキシドが血管拡張物質である一酸化窒素(NO)と結合し血圧を上昇させる。亜鉛欠乏状態では活性酸素消去酵素のひとつであるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性が低下する。
血圧に関連する一酸化窒素合成酵素やアンギオテンシン変換酵素(ACE)は亜鉛依存酵素であり、重症高血圧では血清亜鉛が低下しACEが低値を示す。(『亜鉛の機能と健康』p63)
つまり亜鉛欠乏状態では、血管拡張物質である一酸化窒素が逆に血圧を上げることになる、というのである。
ここで記されているアンギオテンシン変換酵素(ACE)というのは、腎臓の糸球体旁装置の細胞から分泌されるレニンによって産生されたアンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換する酵素である。肺、脳、腎臓に分布している。
これによって、アンギオテンシンⅠがアンギオテンシンⅡになると、強力な血管収縮作用によって血圧を上げることになる、というのである。しかし、血管は収縮と拡張を繰り返すことで血流を体中に回しているのだから、血圧を保つためにも一酸化窒素合成酵素とアンギオテンシン変換酵素のどちらもが必要だと考えられる。
その意味で「重症高血圧では血清亜鉛が低下しACEが低値を示す」とアンギオテンシン変換酵素(ACE)と亜鉛との関連が記されていると思われる。
そしてこのどちらも血圧と関わると同時に尿の合成にも関わっているだろう。
濾過を起こす原動力
糸球体での濾過を可能にしている圧(有効濾過圧)は、糸球体毛細血管内の血圧と、これに抵抗する圧力(糸球体嚢内圧と血漿たん白質による膠質浸透圧)との差です。(略)このように、濾過量は、有効濾過圧、腎血流量と濾過面積の増減に影響されます。血圧が不安定な場合、尿生成に悪影響が出るので、腎臓では、血圧の変動など、濾過がスムーズにいくような自己調節機能を備えています。(堺章『目でみるからだのメカニズム』p97)
腎臓は、血圧の変化に極めて敏感な臓器です。腎動脈の血圧が低下すると糸球体濾過圧が低下し、尿の生成ができません。このため腎動脈の血圧が低下すると、輸入細動脈壁にある圧受容体を介して、糸球体旁細胞がレニンという物質を分泌します。また、遠位尿細管内液のNa+が低下すると、緻密班の細胞がこれを感知し、近接する糸球体旁細胞に働いてレニンの分泌を促します。(堺章『目でみるからだのメカニズム』p99)
ここにアルギニンが関与すると考えられる。
だから、アルギニンの「働き・効果」に、「血流を改善する、血管の若返り、血管の健康を保つ」、「肌の血流量を増やし、血色を良くする」、「脳の血流量を高め、脳の活性化に役立つ」等と記されているのである。
ここで、「働き・効果」に記されている「一酸化窒素をつくり出す」と、「不足・欠乏」で記されている「むくみや肥満になる」がつながってくる。
一酸化窒素合成と、おそらくアルギニンはアンギオテンシン変換酵素の合成にも亜鉛と共に関わって血圧の調整をし、尿を合成しているのだ。
皮膚の場合は、そこにT細胞の動きやマトリックスメタロプロテアーゼの関与があると考えられるのだが、腎臓での血管の収縮と尿の合成の仕組みを皮膚に置き換えて考えれば、尿が造られ尿中に排泄されるのと、皮膚から組織液が滲み出す、あるいは噴き出すのは同じ状態だと考えられる。
アルギニンの「摂取・吸収」で「アレルギー、(略)ヘルペスウイルスなどのウイルスに感染している場合、摂取は控える」と記されており、『栄養成分バイブル』では過剰症で「肌が荒れ」と記されているのだが、続けて「皮膚が厚くなる」とも記されている。
生まれたばかりの娘の腕にはケロイド状になっている部分があった。お風呂上がりにつけていた暖房で低温火傷をさせてしまったかと思ったのだが、後から、それがアトピー性皮膚炎の症状であったことが分かった。
ケロイド外来では、赤く盛り上がる「きずあと」である、ケロイドや肥厚性瘢痕を専門的に診察・治療しています。
(略)
ケロイドは皮膚の深いところにある真皮という部分で炎症が続いてしまうことにより生じる疾患です。炎症ですから、痒みや痛みがあります。本来、きずを治すために必要な炎症が過剰に続いてしまうため、血管ができて赤く見え、膠原線維(コラーゲン)ができて盛り上がります。(https://www.nms-prs.com/outpatient/09/index.html)
T細胞の働きが活性化されすぎていると考えられる。
「子どもが過剰に摂取すると巨人症になる恐れがある」
娘が生まれて3か月でアトピー性皮膚炎であることが分かった。それから私は母乳を飲ませている間、厳しい除去食をしてほとんど葉物野菜ばかり食べていた。そのせいか、娘は小柄に育ったのだが・・。
以下、加筆。
ポークビーンズで大豆のアルギニンを摂り、炊き込みご飯のアサリでアルギニンを摂り過ぎた翌日頃、「マスクで押されて組織液が滲み出る」と言う。
接触性皮膚炎も合併していると思う。