風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系についてのメモ

血管平滑筋の収縮・拡張にかかわるホルモン性調節は、神経性調節より長時間にわたって血圧をはじめ血液量まで変えます。このホルモンにはA副腎髄質ホルモン(ノルアドレナリン、アドレナリン)、Bレニン・アンギオテンシン系、C下垂体後葉のバゾプレシンなどがあります。

Aは、平滑筋細胞受容体のタイプによって、収縮、弛緩のいずれの作用もし、BやCは、収縮作用をもっています。中でも、血液循環に大きな意味をもっているのは、Bレニン・アンギオテンシン系です。レニンは、腎臓の糸球体旁装置の細胞から分泌され、それ自身は血管に対する作用をもっていません。しかし、レニンは血中のアンギオテンシノーゲン(レニン基質)に働いて、アンギオテンシンⅠといわれる物質を産生します。そして、これが肺、脳や腎臓などに分布するアンギオテンシン変換酵素(ACE)によって、アンギオテンシンⅡになると、強力な血管収縮作用をもち、血管抵抗を高め、血圧を上げます。このアンギオテンシン変換酵素の働きを阻止する物質は、現在、高血圧の治療に用いられています。(『目でみるからだのメカニズム』p51)

 

腎臓は血圧の変化に極めて敏感な臓器です。腎動脈の血圧が低下すると糸球体濾過圧が低下し、尿の生成ができません。このため腎動脈の血圧が低下すると、輸入細動脈璧にある圧受容体を介して、糸球体旁細胞がレニンという物質を分泌します。また、遠位尿細管内液のNa+が低下すると、緻密班の細胞がこれを感知し、近接する糸球体旁細胞に働いてレニンの分泌を促します。

レニンは、一種のたん白分解酵素で、血中にある肝臓で作られたアンギオテンシノーゲンを、アンギオテンシンⅠに変えます。アンギオテンシンⅠは、肺、脳や腎臓にあるアンギオテンシン変換酵素の働きで、アンギオテンシンⅡとなります。このアンギオテンシンⅡは、血管を収縮し血圧を上昇させます。また、アンギオテンシンⅡは、副腎皮質からアルドステロンというホルモンの合成を促進する働きがあります。このホルモンは、遠位尿細管や集合管からのNa+の再吸収と、K+の排泄を促進します。その結果、水がNa+の再吸収に伴ってより多量に再吸収され、体内の水分量が増え、血圧をさらに高めることになります。このように、アルドステロンは、後述の抗利尿ホルモン(ADH)とともに、体内の水分量の調節も担っています。腎不全でこれらの調節作用が侵されると、体内に水分がたまってむくみ(浮腫)を起こす一因となります。

レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系は、腎性昇圧系と呼ばれます。これに対し、血管を拡張し血圧を下げる腎カリクレイン・キニン系や腎プロスタグランジン系があって、血圧が調節されると考えられています。(p99)

 

わたしたちの体の中の細胞には、新型コロナウイルスが、効率よく侵入できる分子的な仕組みがある。細胞への“入り口”として使用される「ACE2」受容体と、たんぱく質の分解酵素である「TMPRSS2」「FURIN(フーリン)」である。

ウイルスはまず、表面にある突起状のスパイクたんぱく質を、宿主細胞のACE2受容体にぴったりと結合させる。すると、細胞膜にあるたんぱく質の分解酵素「TMPRSS2」や「FURIN」が、ウイルスのスパイクたんぱく質を適切な位置で切断し、ウイルスと細胞の融合を助ける。

かくしてウイルスは細胞内に侵入して遺伝物質(RNA)を注入し、わたしたちの細胞を“工場化”してウイルスを大量に自己複製させられるようになるのだ。 

COVID-19の患者のなかでも高血圧の人が重症化しやすい理由のひとつに、ACE2が血圧を調節するために重要な受容体であることが挙げられている。ウイルスが先に侵入してしまうと、その役目を果たせなくなるのだ。(https://wired.jp/2020/04/19/covid-19-mechanism/

 

以下の考察には間違いが含まれています。(ACE2とアンギオテンシンⅡをごちゃ混ぜにしてしまっている)

ACE2が血圧を調節するために重要な受容体である」というより、ACE2は血圧を上げるための受容体ではないか?

本当に、ウイルスが先に侵入することで血圧を調整することができなくなるのだろうか?

むしろ、ウイルスが受容体に先に結合することでアンギオテンシンⅠがアンギオテンシンⅡに変換されて血圧を上げるのではないだろうか?

 

以下、後載せツイート

 

 

ビタミンDとレニン - 風と、光と・・・

第777回 血圧コントロールと栄養 その5 「臨床栄養士のひとり言」(https://nutmed.exblog.jp/11012618/

上にリンクさせて頂いた「臨床栄養士のひとり言」さんのサイトに、「レニンは何らかの理由で血圧が低くなると分泌されるホルモンで、レニンが分泌されることによって、体液の量が増え血圧は上昇しはじめます。ビタミンD(活性型ビタミンD)にはこのレニンの働きを抑える作用があり、不用意な血圧上昇を抑制してくれます」と記されている。
レニンは、レニン・アンギオテンシン系の初っ端に位置する内分泌ホルモンであって腎臓細胞から分泌される。これが分泌されるのが、血圧が低くなった時だと記されていたのである。ビタミンDがこのレニンの働きを抑える、と記されている。ビタミンDはカルシウムの吸収を促進させる働きもしているので、ここから考えられるのは、ビタミンD不足、あるいはカルシウム不足によって血圧が低下した場合にレニンが分泌されて、レニン・アンギオテンシン系が働き血圧を上げるということではないだろうか。

 

 

 

myrtus77.hatenablog.com