風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

肺炎球菌はマンガンイオンを奪ってヒト体内で増殖する(新年早々こんなメモとちょこっと考察)

マンガンの過剰摂取でマンガン肺炎」と書かれたサイトhttps://ipidiw.co.jp/nutrition/manganese.htmlがあって、これは口から吸い込んだ場合ではないかと思い検索をかけると、やはり「高濃度のマンガン等を含む粉じん、ヒューム等にばく露する業務に従事中又は当該業務を離れた後、比較的短期間に発症した急性肺炎」と書かれていた。

 

しかし、それと共に以下のような研究サイトも見つけた。

 

肺炎球菌が細胞内にマンガンイオンを取り込むしくみ―膜輸送体PsaBCの立体構造の解明

(略)

本研究成果は2021年8月7日に、国際学術誌「Science Advances」に掲載されました。

肺炎球菌Streptococcus pneumoniaeは、世界中で毎年100万人以上の死亡原因となる感染症の病原菌です。肺炎球菌は、細菌性肺炎の主な原因であると同時に、髄膜炎、敗血症、中耳炎の原因ともなり、多数の5歳未満小児がこの病原菌の感染により死亡します。肺炎球菌はヒトの鼻咽頭に無症状で定着しますが、やがて時間が経つと様々な組織や臓器に移動して感染症を引き起こします。肺炎球菌にとって、ヒト体内での増殖や病原性発現に不可欠な金属の一つがマンガン(Mn)です。肺炎球菌は宿主であるヒト体内からMn2+イオンを奪って細胞内に取り込みますが、このMn2+イオンの「取り込み口」として働く膜輸送体がPsaBCです。どのようなしくみによりPsaBCがさまざまな金属イオンの中からMn2+イオンを選択的に取り込むのかという問題はこれまで十分に理解されていませんでした。

 

(略)

 

本研究の成果は、肺炎球菌関連疾患に対する新しい治療薬の開発につながる可能性があります。肺炎球菌のワクチンはすでに存在しますが、既知の株に対して限定的な防御しかできません。また種々の抗生物質に対する耐性率が急速に上昇し、「スーパーバグ」(注1)が出現している現況では、抗生物質による肺炎球菌の増殖抑制にも限界があります。しかしながら、肺炎球菌細胞内へのMn2+イオンの補給路を断つことができれば、その増殖・病原性発現を抑えることが可能になります。今回得られた立体構造情報を用いてPsaBCのMn2+イオン輸送を遮断する生理活性をもつ新たな化合物を合理的に探索・開発することが、肺炎球菌関連疾患の新規治療薬開発のために今後重要な研究方針の一つになると考えられます。

https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20211013.html

 

また、以下のような記事もある。

 

 誤嚥(Aspiration)とは雑菌を含む唾液などの口腔・咽頭内容物,食物、まれに胃内容物を気道内に吸引することで、結果として生じる肺炎です。誤嚥性肺炎(広義)は,臨床上おおまかにAspiration pneumonia(狭義の誤嚥性肺炎)とAspiration pneumonitis(誤嚥性肺障害:メンデルソン症候群も含む)に分けられますが、両者はオーバーラップする事もあります。

(略)

 2000年代の誤嚥性肺炎の起炎微生物の検討では、これは喀痰培養による検討ですが、一位が嫌気性菌で、以下肺炎球菌、インフルエンザ菌黄色ブドウ球菌緑膿菌の順でした。そしてこれまで2位以下の起炎菌の順番が多少の入れ替わりはあっても、嫌気性菌が一番重要であることは変わりありませんでした4)。しかし迎らは、誤嚥性肺炎患者の気管支肺胞洗浄液の網羅的細菌叢解析法を用いて原因菌検索を行いました。細菌培養法と違い全例で原因菌が判明しました。それによると一番多かった原因菌は口腔内連鎖球菌で23.2%で、従来から一番多いとされてきた嫌気性菌は10%にとどまり、以下黄色ブドウ球菌7.3% 、緑膿菌9.8% でした。誤嚥性肺炎において、嫌気性菌の関与は従来考えられていたよりも少ない可能性があり、特に,高齢者の呼吸器感染症では嫌気性菌より口腔内連鎖球菌などの口腔内常在菌が重要である可能性があると報告しました3)。この起炎菌の変化は検体の採取法や検出法の変化に伴う結果と考えられますが、実際の起炎菌として嫌気性菌は減少しているとの意見もあります2)。また、肺膿瘍や膿胸、壊死性肺炎などの特殊な肺炎を除いては肺炎の起炎菌として嫌気性菌を考える必要はないのではという意見もあります2)。ちなみにここでいう嫌気性菌とは偏性嫌気性のことを指しており、好気性代謝ができず,酸素に対する耐性は菌種によって様々ですが基本的に酸素が苦手な細菌です。https://nobuokakai.ecnet.jp/info/topic/2360/

 

 

やはりマンガンの摂り過ぎは良くないかも知れない。しかし、最終的に肺炎で亡くなる場合は、体内のマンガンが肺炎球菌によって奪われて心筋などでミトコンドリアが働かなくなるためではないか?

やはり栄養素の摂取バランスを取るということが必要になってくる。それが難しいのだが。匙加減なのだ。