風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

「アラキドン酸カスケード」についてリンクによるメモ

アラキドン酸カスケード

 PGE2は、細胞膜のリン脂質に結合しているアラキドン酸から、生成される。

 PGE2は、発熱作用や、ブラジキニンによる発痛増強作用(疼痛)や、弱い血管透過性亢進作用(腫脹)や、強い血管拡張作用(発赤、熱感)があり、炎症促進作用を示す

 他方で、PGE2は、マクロファージなどの細胞からサイトカインが産生される際、同じサイトカイン産生細胞から分泌され、サイトカインの産生を抑制し、炎症抑制作用(抗炎症作用、免疫抑制作用)を示す

 

 アラキドン酸(肉食など、食事に由来する)は、細胞膜のリン脂質(PC)のC2位に、エステル結合している。アラキドン酸は、ホスホリパーゼA2(ホスフォリパーゼA2:PLA2)により、細胞内に遊離される(注1)。

 遊離アラキドン酸は、アラキドン酸カスケードと呼ばれる代謝経路でシクロオキシゲナーゼ(COX、cyclooxygenase)により代謝され、PGG2を経て、発痛物質であるPGE2などが合成される。また、LT(ロイコトリエン)合成系で、炎症促進作用(気管支平滑筋や血管透過性亢進作用など)があるLTが合成される。

 消炎鎮痛剤(NSAIDsなど)は、PGE2合成を阻害し、痛み(疼痛)と腫脹を抑制する。

 PGE2は、生体を発熱させ、組織に腫脹、浮腫などを来たす炎症促進作用がある。反面、PGE2は、TNF-αや産生を抑制し、炎症抑制作用も、ある。

 

 A.シクロオキシゲナーゼ回路

 COX(PGH2 Synthase:PGH2シンターゼ)は、アラキドン酸に酸素分子を付加するリポキシゲナーゼであり、PGG2からPGH2を合成するペルオキシダーゼ活性も有する。つまり、単一の酵素、PGエンドペルオキシド合成酵素に、シクロオキシゲナーゼ活性とヒドロペルオキシダーゼ活性がある。

 その結果、生理機能の維持や免疫的炎症反応に関与するプロスタグランジン(prostaglandin:PG)や、トロンボキサンA2(thromboxane:TXA2)が血小板や好中球で、合成される。

 

 NSAIDsは、COXの活性を阻害し、アラキドン酸からPGH2が合成されるのを阻害し、プロスタグランジン合成とトロンボキサン合成を抑制する。

 副腎皮質ステロイドホルモン(ステロイド剤)は、COXの合成を阻害して、抗炎症作用、鎮痛作用などを現す

  なお、 活性酸素の一重項酸素が、PGG2からPGH2が合成される際に産生される。

 

 B.リポキシゲナーゼ経路

 アラキドン酸は、5-リポキシゲナーゼにより代謝されて、5-HPETEを経て、免疫的炎症反応に関与するロイコトリエン(leukotrien:LT)が肥満細胞などの白血球で、合成される。

 アラキドン酸から、アラキドン酸カスケードやリポリシゲナーゼ経路(LT合成系)で合成される、TX、PG、LTは、エイコサノイド(eicosanoids)と総称される。

 細胞の刺激に応じて、エイコサノイドは、アラキドン酸から合成される。エイコサノイドは、局所で作用した後、速やかに代謝される。

 エイコサノイドは、生体の局所で合成されて、局所でホメオスタシス(生体の恒常性)を維持するために働いている。

 エイコサノイドは、エイコサペンタエン酸(EPA)からも合成される

 アラキドン酸代謝物(PGやTX)は、生体内では、酵素的に分解され、半減期が、極めて短い。37℃、pH7.4の水溶液中での半減期は、PGG2やPGH2が約5分、PGI2が約2分、TXA2が約40秒。

 

 1.プロスタグランジン(PG)

 PGは、赤血球を除く全ての細胞で産生される。

 PG には、AからJまで、10種類、知られている。

 PGI2は、PGH2からPGI2合成酵素により生成される。それ以外のPGA2、PGB2、PGC2、PGD2、PGE2、PGF2、PGJ2(JapanのJ:日本で発見された)は、PGH2からPGD,E,F合成酵素により生成されると言う。 

 ほとんど全ての細胞は、細胞膜にアラキドン酸を含んでいて、プロスタグランジン合成能を有する。

 一つの細胞が、全ての種類のPGを産生するのではない。細胞は、その細胞の機能に応じた、1~2種類のPGやTXを、産生する。

 

 NSAIDsやステロイド剤は、COXを阻害し、プロスタグランジン合成を抑制し、抗炎症作用などを現す。

 プロスタグランジンは、アポトーシスを抑制する。

http://hobab.fc2web.com/sub2-arakidonnsannkasuke-do.htm#PGE2

 

このサイトの記載が長く、まだ全文を読んでいないのだが、気になる所を以下にメモっておく。

 

他方で、PGE2は、マクロファージなどの細胞からサイトカインが産生される際、同じサイトカイン産生細胞から分泌され、サイトカインの産生を抑制し、炎症抑制作用(抗炎症作用、免疫抑制作用)を示す

反面、PGE2は、TNF-αや産生を抑制し、炎症抑制作用も、ある

このように、プロスタグランジンE2は発熱や炎症を起こす反面、抗炎症作用や免疫抑制作用をも示すというところが厄介な気がする。

これは、

細胞の刺激に応じて、エイコサノイドは、アラキドン酸から合成される

エイコサノイドは、エイコサペンタエン酸(EPA)からも合成される

エイコサノイドは、生体の局所で合成されて、局所でホメオスタシス(生体の恒常性)を維持するために働いている

この所に関連していると考えられる。

恒常性を維持する働きをしている「エイコサノイド」が、細胞の刺激に応じてアラキドン酸からも合成されるというのだ。この場合炎症を抑えるのか起こさせるのかがはっきりしない。

魚油である「エイコサペンタエン酸(EPA)」から合成されるエイコサノイドは炎症を抑制するだろう。

合成されたエイコサノイドが炎症や免疫反応を抑制するように働くかどうかが鍵となる気がする。

 

つまり、アラキドン酸(肉に多い)やエイコサペンタエン酸(青魚に多い)の摂取の加減によって反応がどう現れるかということだと思う。

 

ここで、ステロイド剤を使用する際に微調整が必要となってくるように思われる。

hobab.fc2web.com