図書館から借りてきた本の中に次のように記されていた。
アミノ酸と酒との関係について面白い研究があるので紹介しておきましょう。
まず、必須アミノ酸のリジンが欠乏した食餌をラットに与え、各種のアミノ酸水溶液を並べて好きなものを飲めるようにしておいたところ、リジンが入った水溶液を選んで飲むという結果が得られました。したがってラットには、不足しているアミノ酸を選択する能力があると考えられます。
次に、長期にわたってアルコールを混ぜた食餌を与え、アルコール性肝障害に近い状態になったラットにアミノ酸水溶液を選ばせたところ、アラニンとグルタミンが入った水溶液を選びました。したがって、アルコールによる肝障害を起こすと、アラニンとグルタミンが必要になるのではないかという仮説が成り立ちます。
(中略)
アセトアルデヒドは、血液中のアルコールが肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)によって分解された中間代謝物質です。この物質こそ、吐き気、呼吸促迫、心悸亢進など、アルコールよりも数倍も強い生体反応を起こす有害物質で、二日酔いの有力な原因の一つと考えられています。
アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により分解されて酢酸になり、最終的に炭酸ガスと水に分解されます。
アルコールがアセトアルデヒドになり、最終的に酢酸になる過程では、ADHの作用を助けるニコチン酸酵素(NAD)が還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)に変化しますが、NADHが増加するとアルコール代謝が阻害されます。
しかし、アラニンとグルタミンを摂取すると、NADHがグルコース・アラニンサイクルに利用されます。すなわち、体内のNADHが減少するためアルコール代謝が促進され、二日酔いから早く回復することがわかったのです。(櫻庭雅文=著『アミノ酸の科学』(講談社)より)
以前、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)について亜鉛含有酵素とナイアシンとの関連で二度にわたってブログに纏めたのだが、この本ではアミノ酸との関連で、「ニコチン酸酵素(NAD)が還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)に変化し」、「NADHが増加するとアルコール代謝が阻害され」るということが記されていた。
アミノ酸の中のアラニンやグルタミン、そして亜鉛が不足状態でナイアシンを摂りすぎると還元型ナイアシンが増加してアルコール代謝が阻害されるということだ。
しかし、逆から考えると、
ナイアシンが不足している状態でアラニンやグルタミンを取り過ぎると、ナイアシンがアルコール代謝に働けないということが起こってくるのではないかと思う。
このことはアルコール代謝にかかわらず、亜鉛とナイアシンが一緒に働くところではどういったところでも起こりうる、と考えられる。
例えば亜鉛とナイアシンはたんぱく質の合成や代謝に一緒に働く。たんぱく質の合成に関わっているということは、消化酵素やインスリンの合成にも関わっているということである。
一緒に働く栄養素が過不足なく摂取される必要があるのだ。
アラニンは魚貝類に多く含まれており、特にホタテやシジミといった貝類に多量に含まれています。「二日酔いにはシジミの味噌汁が良い」というのは、アラニンの摂取によって肝機能を活性化させて酔いを醒まさせることを示唆しているのです。http://aminoacid-wp.jp/c01alanine.html
以下は、過去記事