http://www.jscn.gr.jp/pdf/aen20170613.pdf
亜鉛投与による有害事象として,消化器症状(嘔気,腹痛),血清膵酵素(アミラーゼ,リパーゼ)上昇, 銅欠乏による貧血・白血球減少,鉄欠乏性貧血が報告されている.血清膵酵素上昇は特に問題がなく, 経過観察でよい.亜鉛投与中は,定期的(数か月に 1 回程度)に血清亜鉛,銅,鉄を測定する.血清亜鉛 値が 2 5 0 μg/dL 以上になれば,減量する.また,銅欠乏や鉄欠乏が見られた場合は,亜鉛投与量の減量 や中止,または銅や鉄の補充を行う.
上掲の論文を目にして、逆に亜鉛が不足すると消化酵素が造られなくなるのではないかと思った?
アミラーゼは炭水化物分解酵素であり、リパーゼは脂肪分解酵素である。
炭水化物は唾液中の消化酵素によって口中から分解され始める。たんぱく質は胃に入って胃液によって消化され始める。
脂肪は、「十二指腸でまず胆汁と混じり合い」、「その後、膵液と小腸液中の脂肪消化酵素(リパーゼ)によって」管内消化される。「脂肪消化に最重要なのが膵リパーゼで」ある(『目でみるからだのメカニズム』)。
炭水化物の分解にはビタミンB1、B2が、たんぱく質の分解にはB6が、脂肪の分解にはB2、B6が関わる。また、ナイアシンとパントテン酸はこれら三大栄養素の代謝すべてに関わっている(『栄養成分バイブル』)。
上にリンクした論文では、亜鉛投与による有害事象として「アミラーゼ、リパーゼの上昇」としか記載されていないのだが、亜鉛はたんぱく質の合成に関わっており、「細胞や組織の代謝に欠かせない多くの酵素の構成成分」(『栄養成分バイブル』)と記されているから、亜鉛が不足すると消化は滞るだろうと考えられる。
消化不良によるおくびや(胃からの)口臭が気になる場合は、こういった栄養素の過不足を考えてみると良いかも知れない。
また、消化酵素を含有する野菜や果物を摂るのも良い。
亜鉛やナイアシンはアルコール代謝にも関わっているから、お酒を沢山飲む人はこれらの栄養素は不足しがちとなるだろう。