風の匂いの中に

『我らは神の中に生き、動き、存在する』(使徒言行録17:28)

クエン酸とビオチンと・・(リンクによるメモと考察)(アトピーとの闘い最終章)

以下のサイトには二つの論文が掲載されている。ちょっと古いものだが、抜粋引用する。

http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no.104/No104.pdf

クエン酸もしくはレモン果汁摂取による運動後の血中乳酸消去の促進

             名古屋工業大学共通講座健康運動科学 教授 下村吉治

クエン酸は、アセチル-CoAをマロニル-CoAに変換する酵素アセチル-CoA カルボキシラーゼの活性を高める作用があり、その投与によりマロニル-CoAの生成が促進される可能性が考えられる。
このマロニル-CoAは、ミトコンドリアカルニチン-パルミトイルトランスフェラーゼIを強力に阻害するため、脂肪酸ミトコンドリアへの輸送を阻害する
一方、ミトコンドリア内に存在するピルビン酸脱水素酵素複合体(PDC)は、脂肪酸酸化が促進される条件では不活性化され、逆に阻害される条件では活性化されることが知られている。
従って、マロニル-CoAの生成が促進されると、PDC活性は上昇することが考えられる。この条件では、ピルビン酸及び乳酸の酸化が促進される結果となる。
さらに、クエン酸は解糖系の調節酵素ホスホフルクトキナーゼの阻害剤であり、グルコースの分解を抑制する作用をもつ
これらの2つのクエン酸の作用により、クエン酸を投与した場合には、乳酸の分解
が促進されるメカニズムが考えられる。しかし、この仮説の証明のためにはさらに研究が必要である。

 

一つ目のこの論文には「しかし、この仮説の証明のためにはさらに研究が必要である」と記されているのだが、差し迫っているので、この仮説を前提として考察させて頂く。

 

「アセチル-CoAをマロニル-CoAに変換する酵素アセチル-CoA カルボキシラーゼ」にはビオチンが関与している。

つまり、ビオチン食材を多めに摂っているところに、クエン酸の食材を摂れば、「マロニル-CoAの生成が促進される可能性が考えられる」ということになる。

そうすると、ミトコンドリアカルニチン-パルミトイルトランスフェラーゼIを強力に阻害するため、脂肪酸ミトコンドリアへの輸送を阻害する」のである。

ということは、ミトコンドリアでのエネルギー生成がし辛くなると言えるだろう。

 

さらに、クエン酸は解糖系の調節酵素ホスホフルクトキナーゼの阻害剤であり、グルコースの分解を抑制する作用をもつ」のだから、ブドウ糖を摂って解糖系でエネルギーを生み出すことも難しくなる。

セレンの多い物を摂って甲状腺が亢進し、エネルギー源を必要としているところへクエン酸食材を摂った時に、頭は冴えているようだが、体を動かすエネルギーを消耗しているように見えるのは、そのためだ。

 

クエン酸はこれら二つのエネルギー合成過程を断っておいて、乳酸を分解させることでエネルギーを造らせると言えるように思う。

この乳酸の分解にナイアシンが関わっている。おそらく亜鉛も。この時点でナイアシン亜鉛が欠乏していればどうだろう?乳酸の分解も出来ず、エネルギーも造れないということになる。

 

http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no.104/No104.pdf

クエン酸と血流改善について

           東海学園大学短期大学部生活環境学科 教授 西堀すき江

血小板の凝集が起きるメカニズムとして、EPAカスケードで生成するプロスタグランジンI 3 やトロンボキサンチンA 3 は血小板凝集抑制作用を示すことが知られている

一方、アラキドン酸の代謝過程ではシクロオキシゲナーゼにより血小板凝集作用
の強いプロスタグランジンI 2 (PGI 2 )やトロンボキサンチンA 2(TXA 2 )が生成される

今回の実験結果から、レモン果汁、特にクエン酸はアラキドン酸カスケードにおけるシクロオキシゲナーゼの働きを抑え、PGI2 やTXA2 の産生を低下させることにより血小板凝集を抑制し、その結果として血流が改善されたと推測される。

 

ここで記されているEPAカスケードで生成するプロスタグランジンI 3は血小板凝集抑制作用を示すことが知られている」というのは、『栄養医学ガイドブック』(柏崎良子=著)で記されているαリノレン酸から変換されてくる魚油から生成される「プロスタグランジンE3」「ロイコトリエン5」のことだろう。魚油は血液をサラサラにすると言われている。

「アラキドン酸の代謝過程ではシクロオキシゲナーゼにより血小板凝集作用
の強いプロスタグランジンI 2 が生成される」というのは、リノール酸からアラキドン酸へと変換されて生成される「プロスタグランジンE2」「ロイコトリエン4」のことだと考えられる。この系列は血液を凝集させるというのである。

この論文では、クエン酸をアラキドン酸生成過程において添加すると「血小板凝集を抑制」すると言っているのだ。

 

もう一つこの論文に書かれていない変換過程がある。リノール酸からジホモーγーリノレン酸を経てアラキドン酸には向かわず、「プロスタグランジンE1」に変換されていく過程である。この過程にビオチンが関わっている。

亜鉛マグネシウム、VB6、VC、ナイアシン、ビオチンがある時にリノール酸からプロスタグランジンE1へと変換されるのである。このプロスタグランジンは痒みを抑えると言われている。そして、おそらくこのプロスタグランジンは血液凝集作用も抑制すると考えられる。

つまり、これらの栄養素と共にビオチンを摂ると、痒みは抑えられるが血液凝固作用が抑制されて、組織液が滲み出すということだ。