「腸管より吸収された亜鉛は血中に入り、アルブミンと結合して全身の臓器に運ばれる」(http://www.jscn.gr.jp/pdf/aen20170613.pdf)と記されている。
アルブミンは単純タンパク質ということだが、食品成分表にも記載がなく、食品中でアルブミンを含有するのは卵白の他に私には思い浮かぶものがない。
けれど、卵黄には亜鉛が多いから、「亜鉛がアルブミンと結合して全身の臓器に運ばれる」ことが分かれば、目玉焼きは亜鉛を働かせるためにとても良い食物であり調理法だと分かるだろう。
生卵白に含まれる糖たんぱく質のアビジンはビオチンと結合しやすく、ビオチンーアビジン結合体となり、ビオチンの腸管吸収を阻害する。そのため、長期間にわたって生の卵白を多量に摂取した場合、ビオチン不足になる可能性がある。このことを卵白障害という。
アビジンは加熱すると活性を失うため、卵の加熱調理で卵白障害は予防することができる。(川端輝江=編著『しっかり学べる!栄養学』より抜粋)
亜鉛を働かせるために卵白が生が良いのか加熱した方が良いのかは分からないが、亜鉛とアルブミンの取り合わせとして他に考えられるのは、生卵に牛肉をつけて食べるすき焼きが思い浮かぶ。
しかし、全身の臓器に運ばれる前には腸管からの吸収が速やかにされなくてはならない。
http://www.jscn.gr.jp/pdf/aen20170613.pdf
亜鉛の吸収は,一緒に摂取する食物中物質によって影響を受ける.
種子,米ぬかや小麦などの穀類,豆類などの植物由来の食品に多く含まれるフィチン酸は,亜鉛と非水溶性の複合体を作ることにより亜鉛の吸収を阻害する.
また,カルシウム,乳製品(食品に含まれるカルシウム),食物繊維,コーヒー(タンニンを含む),オレンジジュース,アルコールなども亜鉛の吸収を妨げる .
一方,肉類,魚類に多く含まれる動物性蛋白質(ヒスチジン,グルタミンなどのアミノ酸),クエン酸,ビタミンC などは亜鉛の吸収を促進する.
夫が心不全と診断された後、飲み物はカフェオレにして、朝食にはパンとチーズを食べさせていた。これは、チーズに心筋を造るプロリンというアミノ酸が多く含有されているということを知ったからなのだが、この朝食はどれも亜鉛の吸収を阻害するということが分かった。
心不全の値が正常範囲に入った今は、亜鉛の吸収を考えて朝食の献立を変えなければいけないと昨日思ったのだった。
ここには、「肉類、魚類に多く含まれる動物性蛋白質(ヒスチジン、グルタミンなどのアミノ酸)は亜鉛の吸収を促進する」と記されているので、やはり亜鉛は動物性食品から摂取するのが良いように思われる。
https://www.nobelpharma.co.jp/general/willson/03.html
小腸から体内に取り込まれたCu(銅)は、肝臓でセルロプラスミン(Cp)という蛋白質と結合し、血液中に流れます。しかし、身体の色々な臓器に銅を供給することはしません。鉄の酸化作用を担います。
血中の銅の95%はセルロプラスミン結合銅です。実際に、銅を全身の臓器に供給する役割は、アルファミンやヒスチジンなどであり、血中の約5%を占めます。その一部は尿から体外に排泄されます。利用されたCu(銅)や過剰のCu(銅)は、肝臓から胆汁を経て便として体外に排泄されています。過剰に摂取すると急性や慢性の銅中毒になります。
以下の括弧内、2020年2月28日訂正追記部分。
血清中の銅の70%はセルロプラスミンに結合し、残りはアルブミンやヒスチジンなどと結合して循環している。各臓器の細胞が利用できるのは、これらの非セルロプラスミン結合銅である。(日本栄養・食糧学会=監修『栄養・食品機能とトランスポーター』(建帛社)より)
献立を考える必要がある。